P−21◆もふもふ ページ24
.
「くすぐったいんだゾ〜」
「あっ、ごめんね！」
「ん……でもオマエになら、オレ様の腹貸してやってもいいんだゾ！」
「やった！ もふもふ！！」
大騒ぎの最中、帳本人中の張本人が呑気にもふもふな生き物と戯れて１番リラックスしているという謎の事態に、一刻も早く収拾をつけるべくリドルが動く。
「……そこの猫！ 早く彼女の上からどくんだ！」
──おぉ、さすが冷静な指示……。
「オレ様は猫じゃねえー！！」
「まぁまぁまぁ……」
「ふん！ ……オレ様、今持ち上げられてるからどきたくてもどけないんだゾ」
「えっ？ ……ああ、うん、そうか……そうだ」
──あっ違ったすごい動揺してた。
咳払いして場を仕切り直そうと試みるリドルの姿に、先程までのどこか淡々とした様子とは違う何かを感じてAは思わず微笑を──浮かべている場合ではない。
さぁこの場をどう収めよう。
腕がやや疲れてきたので、ひとまずグリムごと降ろして手を離す。しかしこのモンスターはAの上から離れようとしない。
「……あれっ……」
あろうことか居座り始めたグリムに思わず戸惑う。
A自身には、動物に懐いてもらいやすい体質だという自覚はあるが、それはモンスターに対しても適用されるものなのだろうか。
自分の上に乗ってくるふわふわな生き物。
いつもであればかなり高い幸福レベルを叩き出す状況だが、今は何よりもまず立ち上がって「実はこれには海よりも深い訳が……」とかでも良いからとにかく話し始めるべきだ。
実際には、海どころか水たまりレベルの浅さの一言二言で終わる話なのだが。
「大丈夫かい？」
すっ、とAの目の前に白い手が差し出される。
視線を自分の上半身に乗っかるグリムから上へと動かすが、本当はそんなことをして確認しなくても誰が声を掛けてきたのかは分かりきっていた。リドルだ。
「はい、大丈夫です！」
「一回よけてくれると嬉しいなぁ」と、優しく下手に出ることを意識して頼んでみたら、グリムはあっさりとAの上からどいた。
ついさっきまで、火を吹きながらそこら中を暴れ回っていたということが信じられないぐらい聞き分けが良い。随分と気に入ってもらえたようだ。
ありがたくリドルの手に掴まって、上半身そして下半身と地面に別れを告げていく。
会場のざわつきはなかなか落ち着かない。まあ当然か。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 644人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ヒメアミ(プロフ) - もちうさぎさん» お話が進んだりユニーク魔法とかがお披露目になったりすると多分速攻でバレる(？)と思うんですけど、一応某塔の上のプリンセスを元ネタにしてます……！😌 (2023年4月9日 14時) (
レス) id: 773d896b8c (このIDを非表示/違反報告)
もちうさぎ - 夢主ちゃんのモデルって誰ですか！ (2023年4月9日 5時) (レス) id: c2ca67a91e (このIDを非表示/違反報告)
ヒメアミ(プロフ) - ゆあさん» マジですか何よりでございますわ！！🥰彼にはただのマブで終わらず頑張ってほしいですね(誰目線？) (2023年4月7日 17時) (レス) id: 773d896b8c (このIDを非表示/違反報告)
ゆあ(プロフ) - もう今回も最高でございましたわ！エースと仲良くなっちゃって！そのままくっつけー！！という願望 (2023年4月6日 22時) (レス) @page20 id: ce509c1850 (このIDを非表示/違反報告)
ヒメアミ(プロフ) - ゆあさん» コメントありがとうございます！！ 続け方には気を付けてるのでそう言っていただけて何よりです〜〜😭 頑張ります！！💪🏻 (2023年4月4日 12時) (レス) id: 773d896b8c (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
