78 ページ31
.
そこからエースとやり取りを繰り返す。
あの世界にいた私はどんな生活をしていたのか、何があったのか…とか。
そして、エースとの出会いとか色々。
告白のセリフとかも教えられそうになったけど、断った。恥ずかしいし、そんなの。
「何、顔真っ赤にしてんの」
「…してない」
「してるって。ほら」
「わっわっ、見せるなっ!」
鏡で私を映そうとするから、慌てて隠す。
分かってる。顔が赤いことぐらい分かってる。
エースはカラカラと笑いながら、紅茶に口をつける。
「…ねぇ、エース」
「んー?」
＿彼が来てから、聞きたいことがあった。
聞こうか悩んだけど、それでも聞こうと思う。
「どうして、こっちの世界に来たの」
「…」
コトリ、と音を立ててマグカップをソーサーに戻す。
彼は少し間を置いて頬杖をつくと、はっきりとこちらを見つめてそして口を開く。
「そりゃ、Aのことが好きだからに決まってんじゃん」
「…!」
真っ直ぐとした瞳で、そらさず、こちらを見つめ続ける。
だからこそ、この言葉が嘘じゃないと知る。
「大好きなやつが急に居なくなって、そいつに
「私のことを忘れて、新しい恋をしろよ」なんて言われても、忘れられるはずねーじゃん」
「…っ、あ」
グッ、と左腕を掴まれて引かれる。
「A。一緒に帰ろう」
「っ…」
＿その問いに関して、すぐに返事が出来なかった。
彼のことを疑ってるわけじゃないし、嫌いとかじゃない。
でも、どうしても一緒に行くことは承諾できなかった。
「A?」
「…ご、めん。エースのことが嫌いとか、そんなのでは無いんだけど…」
「怖い?」
「…たぶんね」
エースを悲しませないように、なるべく笑顔で返す。
怖い、のか分からないけど、その誘いにイエスとは答えられなかった。
.
「ごちそーさま」
「全然。こちらこそ、来てくれてありがとう」
喫茶店を出て、赴くままに歩き始める。
＿歩いている間、何も話すことはなかった。
何を話せばいいか考えたけど、出てこなかった。
…どうしよ。この間をどう保つべき?
答えは出てこない。分かってたけども。
「A」
「は、はい!」
急に名前を呼ばれたものだから、声がうわずって変な声で返事を。
エースは少し笑うと、隣に来て呟く。
「…やっぱ、お前居ないとオレやってらんねーわ」
「へ?」
気を抜いた一瞬。
パチン、と指を鳴らすと同時にフッと意識が遠のく。
＿なに、って思う前に完全に堕ちた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 435人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ツイステ」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ロスト(プロフ) - もう、好き (2021年6月19日 20時) (
レス) id: 467929d968 (このIDを非表示/違反報告)
あおやま そら。(プロフ) - ぽ汰さん» 遅くなってごめんなさい！はじめまして！コメント、そしてお祝いもありがとうございます〜！！(*>ω<*) なかなか終わらずごめんなさい笑 大好き、って言って貰えるとめちゃくちゃ嬉しいです！更新頑張ります！よろしくお願いします！！ (2020年9月7日 2時) (レス) id: 8b20927906 (このIDを非表示/違反報告)
ぽ汰(プロフ) - 赤星おめでとうございます！いつも読んでます！このお話ほんと大好きです！更新頑張ってください！ (2020年9月3日 22時) (レス) id: 3434031d26 (このIDを非表示/違反報告)
あおやま そら。(プロフ) - 色々解釈できちゃうので「ツイステのハピエンとはこれだ！」とは答えが出しづらいですね笑 なので、はなさんが好きだ！と思った解釈？をハピエンだと思って、いいと思います！難しいですよね、長々とごめんなさい！泣 答えにはなってませんが、参考になれば嬉しいです… (2020年8月10日 2時) (レス) id: 8b20927906 (このIDを非表示/違反報告)
あおやま そら。(プロフ) - ﾂｲｽﾃのハピエンとは？については、人それぞれってなっちゃうんですよね…作品自体が謎やら多めで、監督生についても謎が多いのでこれだ！っていう確証が出来ないんです…だからﾊﾋﾟｴﾝでも元の世界に帰ること、ツイステの世界残ること、その他…と(続きます！) (2020年8月10日 1時) (レス) id: 8b20927906 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：あおやま そら。 | 作成日時：2020年6月6日 0時
