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J.H
エースの定位置には、既に誰かが座っていた。「ついてねぇなぁ」と心の中で零して、その隣に立つ。
ちらりとドアの窓から外を覗けば、空模様は悪い。今にでも雨が降りそうだ、とエースはため息をついた。
八時七分、リドル先輩が乗ってくる時間。エースは心を落ち着かせるように深呼吸をした。
「あ、降ってきた」
上を見上げながらそう呟いて、リドル先輩が入ってくる。その手には傘が握られていた。……思ったが、エースは持ってなかったよな。
「おっ……はよう」とエースが本当に小さな声を出す。若干震えていたその言葉は、電車の騒めきに呑まれて消えた。
エースの顔がじんわりと赤く染まる。くそ、と小さく漏らしてエースはまた窓の外を眺め出した。
電車が止まったのは、その十数分後。電車から降りたエースは、空を見上げて重たいため息を漏らした。かなりの量の雨が降っている。
少し雨宿りするか、とエースが屋根のある場所で立ち尽くしていると。
「あ、の……。傘……良かったら」
小さな声が聞こえた。
エースが声の方向を見れば、そこにいたのはリドル先輩。目線を少し逸らしながら、エースに自身の傘を差し出す。
エースはたちまちのうちに顔を真っ赤にさせて、それを受け取る。大切なものをもらうかのように丁寧に受け取って、エースは口を開いた。
「あっ、ありがと……っ」
絞り出すような声でそう言ったエースに、ぺこりと会釈して。リドル先輩は友だちのもとに駆けて行く。友だちの傘に入れてもらって、リドル先輩の姿は見えなくなった。
エースは傘を握りしめたまま、ずるずるとその場にしゃがみ込む。大きな息を吐いて、エースは顔を覆った。その間から覗く頰が、耳が。赤に染まっていて。
「……よくこんなことが出来るな」
思わず浮かんだ言葉を、隣のデュースが呟く。いくら演技が上手いって言ったって、顔の熱まで自由に変えられるものなのか？
俺には無理だろうな、と苦笑して続きを見る。
暫く放心していたエースだったけれど、やがてゆっくり立ち上がる。ぱんぱんと頬を叩いて、エースは軽く笑みを浮かべた。
「月曜日、頑張ろ。……想像してなかったことも起きたし」
よし、と気合を入れてエースは学校に向かう。女性用の少しピンクな傘を差すエースに、デュースと二人で笑ったことは内緒にしておこう。
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Karinto(プロフ) - 更新されていらっしゃる！？！？！？！？ありがとうございますおかえりなさい更新頑張って下さいずっと応援してますｯｯｯ！！ (2022年2月7日 8時) (
レス) @page45 id: 591b71b5c2 (このIDを非表示/違反報告)
尊死(プロフ) - あの毎度神回を作るのをやめて欲しい(好きぃ)あとリクエストを今好きになる(虎太郎ver.)をリドルパイセンでおねしゃす。 (2022年2月5日 16時) (レス) @page37 id: a66196b55f (このIDを非表示/違反報告)
幸(プロフ) - 本当に素晴らしいと思います！これからも楽しみにしています、頑張ってください！！ (2022年2月3日 1時) (レス) id: c4230c4db2 (このIDを非表示/違反報告)
胡麻味噌 - リクエスト失礼いたします。アズールでエンジェルフィッシュをお願いします！王子役は監督生で！オバブロの際に垣間見えたメンヘラみがぴったし合うと思うんです！無理のない程度に頑張ってください！！！ (2022年1月16日 1時) (レス) id: 063c67640b (このIDを非表示/違反報告)
カリナと咲(プロフ) - いつも楽しく見させて頂いて下ります。解釈一致するものが多すぎて尊さで毎回死にかけて下ります。ありがとうございます。頑張って下さい。 (2022年1月14日 22時) (レス) @page44 id: 5c46ccd9a8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：チーズ鍋 | 作成日時：2021年11月23日 22時
