アズカバンの囚人が13人 ページ13
Aside
その日の夜、私が医務室でひとり、薬とにらめっこしていると、静かに誰かが部屋に入ってきたのを感じとった。
マダム・ポンフリーが所用で席を外している今、ココには私しかいない。用心深く暗がりに目を凝らしている間にその人物は私に近づき、ついにロウソクに照らし出された。
トム「やあ、調子はどう?」
A「なんだ、トム君か」
ひとまずホッと胸を撫で下ろす。シリウス・ブラックとかだったらどうしようかと。
A「あ!ちょっと!なんでまた元の姿に戻ってるの!チヂミニウムは!?」
トム「別に誰もいないんだから良いだろう?ずっとあのままの姿でいるなんて、僕には耐えられないね」
「それに、目撃者がいたとしても、消せば問題ない」とニッコリ笑顔のトム君に遠い目をする。何言ってもダメだこりゃ。
トム「それより、薬、早く飲めば?」
A「やだぁ〜」
トム君は知らないだろうけど、この薬マジでマズいから。人が口にして良いものじゃないから。
私がウダウダとどうやってこの薬をマダム・ポンフリーにバレることなく始末しようかと思案していると、トム君がスッと手を出した。
トム「貸して、それ」
やだ!もしかして私の気持ちが通じたの?
A「ありがとう!どうか出来るだけ遠くに捨て...」
最後まで言う前に、トム君が薬を自らの口に含んだ。
驚きで固まる私をよそに、私の頭を片手で押さえ、彼の顔が近づいてきたと認識した瞬間、私の口の中にあのマズイ薬の味が広がった。
今回は、吐き出したくても、私の頭を離れないように押さえつける手がそれを許さない。
覚悟を決めてゴクリと飲み干すと、ようやく彼の口と手が離れた。
トム「ん。良い子だ」
目を細めて笑う彼に恨みがましい目を向ける。
トム「そんな顔をしても無駄だよ。もし、君がこの傷で命を落とすようなことがあったら僕も道連れだ。悪いけど、我慢してもらおう」
A「それにしたって手段選ばなさすぎじゃないかぁ?私じゃなかったら通報案件だわ」
トム「そもそも、君以外だったらこんなことする気も、する必要もないんだけどね」
なおもブツクサと文句をぶつける私に、トム君は肩をすくめ薬の瓶を振った。
トム「まだ少し残ってる」
A「嘘でしょ。私の声が届いてないだと?ヘイ!プリーズリッスントゥミー?」
トム「黙りなよ」
その後、薬は全て飲み干させられ、満足したのか彼は寮に戻っていった。Aちゃんはオコです。
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ANMZK - 面白かったです❗️これからも頑張ってください😆 (5月12日 20時) (レス) @page46 id: 7555f05ef4 (このIDを非表示/違反報告)
ANMZK - 最っ高です❗️次の話も楽しみにしてます❗️ (5月5日 21時) (レス) @page44 id: 7555f05ef4 (このIDを非表示/違反報告)
黒瀬みかづき(プロフ) - ものすごく面白いです!声をあげて笑ってしまいました。更新これからも頑張ってください! (2023年3月20日 7時) (レス) id: 41859a0eac (このIDを非表示/違反報告)
hEllomONing(プロフ) - この作品大好きです!いつも笑いながら読ませていただいています!!!無理せず更新頑張ってください! (2023年3月6日 5時) (レス) @page32 id: 79441643a0 (このIDを非表示/違反報告)
宵凪(プロフ) - すッッッごい好きです!!!!!更新これからも頑張ってください…!とても楽しみにしています! (2023年2月26日 10時) (レス) @page30 id: 47abe22f42 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ぷちとまと | 作成日時:2022年5月31日 23時