検索窓
今日:17 hit、昨日:10 hit、合計:38,834 hit

アズカバンの囚人が13人 ページ13

Aside


その日の夜、私が医務室でひとり、薬とにらめっこしていると、静かに誰かが部屋に入ってきたのを感じとった。
マダム・ポンフリーが所用で席を外している今、ココには私しかいない。用心深く暗がりに目を凝らしている間にその人物は私に近づき、ついにロウソクに照らし出された。


トム「やあ、調子はどう?」

A「なんだ、トム君か」


ひとまずホッと胸を撫で下ろす。シリウス・ブラックとかだったらどうしようかと。


A「あ!ちょっと!なんでまた元の姿に戻ってるの!チヂミニウムは!?」

トム「別に誰もいないんだから良いだろう?ずっとあのままの姿でいるなんて、僕には耐えられないね」


「それに、目撃者がいたとしても、消せば問題ない」とニッコリ笑顔のトム君に遠い目をする。何言ってもダメだこりゃ。


トム「それより、薬、早く飲めば?」

A「やだぁ〜」


トム君は知らないだろうけど、この薬マジでマズいから。人が口にして良いものじゃないから。

私がウダウダとどうやってこの薬をマダム・ポンフリーにバレることなく始末しようかと思案していると、トム君がスッと手を出した。


トム「貸して、それ」


やだ!もしかして私の気持ちが通じたの?


A「ありがとう!どうか出来るだけ遠くに捨て...」


最後まで言う前に、トム君が薬を自らの口に含んだ。
驚きで固まる私をよそに、私の頭を片手で押さえ、彼の顔が近づいてきたと認識した瞬間、私の口の中にあのマズイ薬の味が広がった。

今回は、吐き出したくても、私の頭を離れないように押さえつける手がそれを許さない。

覚悟を決めてゴクリと飲み干すと、ようやく彼の口と手が離れた。


トム「ん。良い子だ」


目を細めて笑う彼に恨みがましい目を向ける。


トム「そんな顔をしても無駄だよ。もし、君がこの傷で命を落とすようなことがあったら僕も道連れだ。悪いけど、我慢してもらおう」

A「それにしたって手段選ばなさすぎじゃないかぁ?私じゃなかったら通報案件だわ」

トム「そもそも、君以外だったらこんなことする気も、する必要もないんだけどね」


なおもブツクサと文句をぶつける私に、トム君は肩をすくめ薬の瓶を振った。


トム「まだ少し残ってる」

A「嘘でしょ。私の声が届いてないだと?ヘイ!プリーズリッスントゥミー?」

トム「黙りなよ」


その後、薬は全て飲み干させられ、満足したのか彼は寮に戻っていった。Aちゃんはオコです。

アズカバンの囚人が14人→←アズカバンの囚人が12人



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (143 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
348人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

ANMZK - 面白かったです❗️これからも頑張ってください😆 (5月12日 20時) (レス) @page46 id: 7555f05ef4 (このIDを非表示/違反報告)
ANMZK - 最っ高です❗️次の話も楽しみにしてます❗️ (5月5日 21時) (レス) @page44 id: 7555f05ef4 (このIDを非表示/違反報告)
黒瀬みかづき(プロフ) - ものすごく面白いです!声をあげて笑ってしまいました。更新これからも頑張ってください! (2023年3月20日 7時) (レス) id: 41859a0eac (このIDを非表示/違反報告)
hEllomONing(プロフ) - この作品大好きです!いつも笑いながら読ませていただいています!!!無理せず更新頑張ってください! (2023年3月6日 5時) (レス) @page32 id: 79441643a0 (このIDを非表示/違反報告)
宵凪(プロフ) - すッッッごい好きです!!!!!更新これからも頑張ってください…!とても楽しみにしています! (2023年2月26日 10時) (レス) @page30 id: 47abe22f42 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:ぷちとまと | 作成日時:2022年5月31日 23時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。