【ツイステ】 Stoneface__BORDEAUX.【男主】 (ページ24)

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カラカラとキャリーバッグを引きながら寮への道を歩く。
反対の手に持ったケーキボックスを見て、自然と頬が緩む。

近所の店で買った美味しそうなケーキ。
あの後も電話くらいしかできなかったから、せめてものお詫び。多分気に入ってくれるはずだ。

重いドアを開ける。相変わらず変わらない寮内はシンとしていた。
遠くから小さな足音がする。……ユウじゃなくて、グリムだ。

グリム「ライヴ、やっと帰ってきたんだゾ！」

『ただいま。……どうかしたの』

グリム「それが……ユウの奴、今日帰ってきてからなんだか変なんだゾ……」

『……ユウは部屋？』

こくんと頷くグリム。一体何があったんだろうか。
とりあえず買ってきたケーキを冷蔵庫に入れて、ユウの部屋へ。

扉を開けると、ユウは窓辺で椅子に座っていた。後ろ姿がなんだか寂しそう。

『ユウ。』

ユウ「ぁ、ライヴさん！おかえりなさい！」

『……ただいま。ケーキ。食べよう』

"はーい！"と元気そうに返事をするユウ。
目の近くが赤くなっているのは絶対に気のせいじゃない。

泣いたんだ。多分、グリムに隠れて1人で。

明らかに元気になったユウの様子を見て、グリムは少しだけ安堵したような顔。
でも、あの笑顔が本物じゃないことは気付いているはずだ。しっぽが不安そうに揺れている。

いつものように紅茶を入れて、ケーキも用意する。
茶葉を蒸らし終えたとき、ちょうど3時を知らせる音がした。

『たくさんあるから、好きなの取って。』

ケーキボックスを開けると、ユウとグリムが同時に覗き込んだ。
適当にいくつか選んできたけれど、どれも気に入ってくれそうだ。

ユウ「いいんですか！？え〜どうしよう！」

グリム「宝石みたいなんだゾ！！あの赤いの！うまそう！！」

ユウ「全部美味しそうだよね！どうしようかな〜」

楽しそうな2人を横目に紅茶を淹れる。
……温かい紅茶飲んだら悩みの種を話してくれるだろうか。

ユウ「はいはい、俺生チョコ！」

グリム「俺様アップルパイ！」

『……ん、食べようか』

花の皿にケーキを乗せて、2人の前に差し出す。
あぁ、悩みはあれど楽しそうでよかった。
帰ってきたって感じがする。