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カタリ、と音がして瓶が倒れる。私の手は本体に掠った程度で、掴むことが出来なかった。もちろんそれには私だけじゃなくてお兄ちゃん含めその場の全員気がついていて、ほかのことに注意を向けていた人も再度私の方に視線を戻した。
｢ほんとに葛根湯苦手だなあ。A、頑張って飲も。な？飲んだら俺褒めてやるから｣
｢やなの。やだったらやだ！私今体調ちょっとわるくてつらいのに、もっとつらいの飲みたくない！お兄ちゃんの意地悪！！｣
思考がまだふわふわしてる事もあって幼稚園児かのような駄々を捏ねてしまう。言ったあとにしまった、と口を抑えたけれど、みんなはもう静かにくすくすと笑っていた。みんなの笑い声に先程とは違うけれど顔が赤くなる。お兄ちゃんは呆れたようにもう21にもなるのになあ、なんて笑っていた。
｢A、お兄ちゃんは意地悪で飲めって言ってるんじゃなくて、Aがしんどそうなのが見ててつらいから飲めって言ってんのね。Aなら頑張ったら飲めるから！ほら、目閉じて、鼻つまんでな｣
気休め程度にしかならないことは知ってても、お兄ちゃんの言われた通りにする。それだけで偉いな、なんて褒められて次は持つように促される。持つだけでも苦手なもの自分からもててAは偉い！なんて言われるものだから恥ずかしくなって一気に飲んだ。独特の苦味と香りが口内に広がって、少しでも早くそれが薄まるようにお水も直ぐに飲んだ。
｢偉いなあ！ちゃんと自分から飲めたじゃん！苦かったのにな、さすが俺の妹！｣
｢Aちゃん葛根湯飲めたね、いいこいいこ！｣
｢これできっとすぐ治るよ｣
伊沢さんもそうくんもお兄ちゃんに続いてそう言ってくれたけれど、まるで子供をあやすかのように言われて、また恥ずかしくなる。こういう大人の悪ノリ、良くない。たくろーさんも控えめに良かったなあ、飲めて、なんて言ってきた。これは確実にバカにしている。私にはわかる。だってあんなにも嬉しそうに、半笑いで言ってくるのだからそうに違いない。
唯一の良心と信じたいこうくんに目を向けると、嬉しそうに俺も葛根湯苦手なんだよねえ、なんて言ってきてくれてさすがは同い年なだけある。うんうん、なんてひとり納得しながらもう一度寝させてもらうことにした。お兄ちゃんの仕事がまだ片付いていないらしいし私も眠くなってきたからちょうどいい。お兄ちゃんが終わったら乗せて帰って貰うことにして、私は夢へと誘われた。
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おとわ(プロフ) - ゆっぴ/唯華cさん» コメント、リクエストありがとうございます...！今の小話が終わったら書かせて頂きます！ (2019年12月6日 8時) (
レス) id: c8d4633da7 (このIDを非表示/違反報告)
ゆっぴ/唯華c(プロフ) - 初コメ失礼します！頭楽しく拝見させていただいてます！リクエスト大丈夫ですか？風邪でふらふらな主人公ちゃんのお話が読んでみたいです！これからも応援しています！ (2019年12月5日 23時) (レス) id: 7ff6de5a8e (このIDを非表示/違反報告)
たそ。(プロフ) - おとわさん» そんな言ってもらえるほどの奴じゃないですよ！！こんな奴で良ければ仲良くしてやってくださいな。 (2019年9月17日 19時) (レス) id: 1c4af94c04 (このIDを非表示/違反報告)
おとわ(プロフ) - たそ。さん» コメントありがとうございます！たそ。様得なら何よりです...！ありがたい言葉を励みに頑張ります！！ (2019年9月17日 2時) (レス) id: c8d4633da7 (このIDを非表示/違反報告)
たそ。(プロフ) - 続編おめでとうございます！須貝さんがお兄ちゃんは我得すぎるので本当にありがとうございます←これからも更新楽しみに待ってます！！ (2019年9月16日 20時) (レス) id: 1c4af94c04 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：おとわ | 作成日時：2019年9月15日 23時
