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川上がバタバタと出かけてから数十分後、ドアの開く音がした。中には入ってこず、何をしているのだろうと玄関に向かうと、ドアをどう閉めるために1度背中におぶられているAちゃんを下ろす川上がいた。手には来る前にで買ったであろうスポーツドリンクとゼリー、果物とかが袋に入れられていて、潰れないようにそっと廊下へと下ろした。
「え、川上、Aちゃんどうしたの?」
「須貝さんに言われてちょっと迎えに行ったんですけど、熱あるっぽくて」
構内で寝ているところを連れてきてからまだ1度も起きてないんです、と続けながら開きっぱなしのドアを閉める川上。なんで川上に連絡がいったのか疑問に思うこともあったけれど、目の前でしんどそうにしているAちゃんを見たらそんなことはどこかへとすっとんでいって、とりあえず俺冷えピタ持ってくる、と収納棚へと向かった。後ろで買ってあります、なんて声が聞こえてきたのは小耳に挟んでおく。
氷枕やタオルなどを持って仮眠室のドアを開けると、布団にくるまり規則正しい寝息を立てるAちゃんと、体温計を片手に暗い顔をしている川上がいて、とりあえず手に持っているものを川上へと渡し、どうしたのかと聞く。
「いや、熱測ろうと思ったんですけど、これってセーフやと思います?」
「あーいや...、んんん」
須貝さん的には多分俺はアウト、川上...はどうなんだろう、頼るくらいにはOKなのだろうか、いや厳しいな。ここに福良さんとか河村さんがいたらまた話は変わってくるのに...なんて考えつつ、水上を呼べばいいんじゃね、と提案をするとその手があったか、と言わんばかりの顔をして川上がスマホを開く。メッセージを送るとすぐに返事が来たみたいで、休んでも大丈夫な講義だそうで向かいます、とのこと。
俺が水上を呼んだのは、川上が水上を呼ぶことを許容したのは、医学部だからなのか、それともAちゃんと水上は親しいからなのか、あるいは...なんて変なことを思いつつも、起きた時のためにゼリーを冷蔵庫に入れてくる、と席を立つ。すると俺することあるついでにしまっとくんで、伊沢さんAの事頼んでいいですか、と言われ断れるはずもなくあげた足を戻す。
ドアの閉まる音がして少し熱を帯びた顔をちらりと除く。綺麗な肌にくるりと上がった睫毛、顔を見なくてもそれだけで可愛らしい雰囲気がにじみ出ている。むしろ頬が赤くて色っぽい、なんて浮ついたことを考えていると、ドアの開く音がした。
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おとわ(プロフ) - ゆっぴ/唯華cさん» コメント、リクエストありがとうございます...!今の小話が終わったら書かせて頂きます! (2019年12月6日 8時) (レス) id: c8d4633da7 (このIDを非表示/違反報告)
ゆっぴ/唯華c(プロフ) - 初コメ失礼します!頭楽しく拝見させていただいてます!リクエスト大丈夫ですか?風邪でふらふらな主人公ちゃんのお話が読んでみたいです!これからも応援しています! (2019年12月5日 23時) (レス) id: 7ff6de5a8e (このIDを非表示/違反報告)
たそ。(プロフ) - おとわさん» そんな言ってもらえるほどの奴じゃないですよ!!こんな奴で良ければ仲良くしてやってくださいな。 (2019年9月17日 19時) (レス) id: 1c4af94c04 (このIDを非表示/違反報告)
おとわ(プロフ) - たそ。さん» コメントありがとうございます!たそ。様得なら何よりです...!ありがたい言葉を励みに頑張ります!! (2019年9月17日 2時) (レス) id: c8d4633da7 (このIDを非表示/違反報告)
たそ。(プロフ) - 続編おめでとうございます!須貝さんがお兄ちゃんは我得すぎるので本当にありがとうございます←これからも更新楽しみに待ってます!! (2019年9月16日 20時) (レス) id: 1c4af94c04 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:おとわ | 作成日時:2019年9月15日 23時