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そんなこんなでAとオフィスに向かう。誘う時はそれはそれは心臓の鼓動が早くなるのを意図せずも分かるくらいには。隣でにこにことその時にお兄ちゃんがね、と話すAにはこんな俺の気持ちは伝わってないだろうけど。
誘えた喜びと胸が踊る予定を立てられ浮き足立った俺と、アザラシも見に行きたい、なんてかわいいことを言うAはオフィスに足を踏み入れた瞬間、ちょうど良かった!と伊沢さんがすぐに俺らのところにやってきた。
「今週の金曜、企業さんと...2つの企業さんから声掛けてもらってるから、具体的にはどことは決まってないんだけどらコラボ動画撮ることになったんだ。2人もどう?」
俺自身も企業の動画には出演したいけど、きっと俺以上に、Aはコラボしたいと思う。今までそういう系統の動画には出たことも無いし、水族館はまた今度かな、なんて思いながら口を開く。
「俺たちも撮「私もうその日は予定入ってるんです...行きたい気持ちは山々なんですけど、ごめんなさい!」
少し、いや凄い驚いた俺は、Aの顔を横目で見る。俺のことを優先してくれるんだ、なんてまた胸が高鳴った気がしたけれど、その高鳴りのようなものはすぐに消えてしまった。
「ね、こうくん!」
...ああ、彼女はやっぱり彼女なんだと、秘密のお出かけのはずが、いつの間にか広がっていくのには目の前のAが大元の原因なんだって分かったけれど、惚れた弱みか、はっとした表情のAを見ても怒る気持ちは湧き上がらなかった。
「...へえ、そうなんだ。まあ、人数が足りないわけではないから!楽しんできてね二人共」
Aの方ににっこり笑って、くるりと踵を返す伊沢さん。思ったよりもあっさりしてるな、と思っていたけれどすぐにこうちゃん、ちょっと校閲して欲しい記事があるんだけど、と呼ばれる。...昨日確認した時にはなかったはずなんだけどなあ、なんて思いつつも断れるはずもなく、わかりました、と後ろをついていく。ドアが閉まると同時くらいに伊沢さんの口が開く。そして後ろに主要メンバーが集まっていることに気がついた
「こうちゃんとAちゃんは金曜日デートするから撮影来れないって!だからふくらさんと俺と須貝さんで行こっか」
いい笑顔、とはこういうような顔だと形容される表情でみんなに聞こえるように伝える伊沢さんに、たらりと冷や汗が流れる。俺が思ってる以上に、Aが愛されているのを痛感するのは、それからすぐのことだった。
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おとわ(プロフ) - ゆっぴ/唯華cさん» コメント、リクエストありがとうございます...!今の小話が終わったら書かせて頂きます! (2019年12月6日 8時) (レス) id: c8d4633da7 (このIDを非表示/違反報告)
ゆっぴ/唯華c(プロフ) - 初コメ失礼します!頭楽しく拝見させていただいてます!リクエスト大丈夫ですか?風邪でふらふらな主人公ちゃんのお話が読んでみたいです!これからも応援しています! (2019年12月5日 23時) (レス) id: 7ff6de5a8e (このIDを非表示/違反報告)
たそ。(プロフ) - おとわさん» そんな言ってもらえるほどの奴じゃないですよ!!こんな奴で良ければ仲良くしてやってくださいな。 (2019年9月17日 19時) (レス) id: 1c4af94c04 (このIDを非表示/違反報告)
おとわ(プロフ) - たそ。さん» コメントありがとうございます!たそ。様得なら何よりです...!ありがたい言葉を励みに頑張ります!! (2019年9月17日 2時) (レス) id: c8d4633da7 (このIDを非表示/違反報告)
たそ。(プロフ) - 続編おめでとうございます!須貝さんがお兄ちゃんは我得すぎるので本当にありがとうございます←これからも更新楽しみに待ってます!! (2019年9月16日 20時) (レス) id: 1c4af94c04 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:おとわ | 作成日時:2019年9月15日 23時