理系女子の活動日誌 2【QK】

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｢こうちゃんいいなー。俺もAちゃんと踊りたい｣


なんて俺の横でうじうじ言ってるのはいつもはしっかりしている編集長。Aのことになると少し駄々っ子みたいになっている気がする。そんな1面はきっと俺や福良、河村くらいしか知らないと思うけど。


｢伊沢も踊ればいいじゃん｣


｢いや、なんか俺と2人はなんか違うくない？あれはこうちゃんとAちゃんだから成り立っているんであって、山本とか水上とか、それこそ須貝さんとかなら関わりというかコンビというか、そういうのあるけど俺とはあんまないじゃんか〜｣


こうちゃんと山本は可能性コンビとか、Aとこうちゃんは末っ子コンビとか、ここの3人で末っ子トリオとか、俺とAでナイス兄妹とか、ファンの中で呼び名がついていることは知っているけど、確かにそういうコンビ名がつくところは絡みが多いというか、仲良しと視聴者さんにも認識してもらえている。伊沢は確かにその1面だけで言えばAとは関わりはない。


｢須貝さんはいいよなー、あんな可愛い妹いるんだから、羨ましい｣


俺にだって欲しかった、とかブツブツ続ける伊沢のことはほっといて、前にAが言っていたことを思い出す。


｢やっぱり伊沢さんはすごい人だよね、私そんな人と一緒に仕事できてるなんて、ふふ、みんなに自慢できちゃう｣


心底嬉しそうに、そしてニシニシと笑うAの可愛い笑顔が脳裏に浮かぶ。今こんなことを言ったら、目の前のCEOはきっと調子に乗るだろうから、ここでは秘めておくことにしようか。


福良にAの需要は視聴者だけにとどまらずメンバー内にまで浸透している、とでも伝えることにしよう。そうしたらきっと俺も伊沢も一緒に動画に出られるだろうし。もしかしたら水上だって来て貰えるかもしれない。そうしたらきっと視聴回数だって増えるだろう。


Aが増えたことによって俺らもどんどん前に進めるようになっている。本人が思っている以上にAの存在は大きいものなんだな、と2人が踊る動画を口元に笑みを零しながら見つめた。うん、何回みても妹は可愛いしこうちゃんはあわあわしてる。でも俺は何よりも、2人が踊り切った後、笑顔で大喜びする姿が好きなのだ、と最年長らしく弟と妹を可愛がるかのように動画に何度も釘付けになった。

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