理系女子の活動日誌 2【QK】

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今年大学卒業なんて実感わかないや、なんて笑うみもりんさんは少しだけ寂しそうに見えた気がする。そんなみもりんさんに釣られるように私も少しだけ胸がちくりとした気がした。みんな、私より大人で、私より先に卒業して、大学にいなくなっちゃうんだ、なんて。
同い歳のこうくんでも私より先に東大を去るし、お兄ちゃんに至ってはいつどうなるかわかんない。卒業という節目は喜ばしいものなのに、寂しさを感じる私は我儘なのかな。


｢今度オフィス行く時は連絡するからさ、その時にでもライターのみんなでどこか食べに行かない？ライターを辞めるつもりはないけど、今年が終わっちゃったら俺あんまり行けれなくなるかもだし｣



｢え、行きたいです！卒業おめでとう会とか、合格おめでとう会とか、喜ばしいことは全部みんなでお祝いしましょ？｣


言い方が子供みたい、なんて少しバカにしたように笑いつつも、そうしてくれるなら嬉しいな、と優しく微笑んでくれた。じゃあここら辺で、と別れてみもりんさんはレジに向かう。後姿は大きくて、私よりも頼りがいのある大人なんだって見てわかる。3歳差、と口に出して言う限りでは想像しがたい大きな差があるんだなって、見つめながら心に思った。



家に帰って買った食品を冷蔵庫に入れる。今日は何を作ろうかな、オムライスにしようかな。そう決めて卵にケチャップ、玉ねぎににんじんにひき肉を取り出す。玉ねぎをみじん切りしながら溢れかけた大粒は、それに含まれているアミノ酸のせいか、はたまたセンチメンタルになってしまってる自分のせいか。今はそんなことどうでも良くて、頬を伝う雫を手で拭った。


せっかく作ったし、とストーリーにオムライスを載せる。我ながら上出来なんじゃないか、なんて自画自賛してみる。載せると反応してもらえて、嬉しかったな、なんて。その中で1つ、文章が送られてくる。それは実兄だった。


俺久々にAのオムライス食べたい！！と書かれた画面をみてくすりと笑う。どうしようもなく寂しくなった時、何も言ってないのに何故か連絡がやってくる兄の存在にどれだけ助けられていたんだろうか、きっと計り知れないだろうな。


私の家に来たら作る！と返して、もう1つのお皿を用意する。今から作ったら出来たてを食べてもらえるかな、なんて思って作りだす。自分のオムライスが冷めてしまうのなんてこれっぽっちも気にせずに、今はただ、大好きな兄が来るのを今か今かと待っていた。

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