067 ページ17
誰かの声で目を覚ます。いつの間にか私眠っていたんだっけ、なんでゆっくりと考える暇なんてないくらいに、私は目の前の惨状に瞬きができなかった。おかげさまで酔いが覚めたと言っても過言ではない。
よしあきさんは1人で床に寝転がり、すやすやと寝息をたてている。しんさんと伊沢さんはなんだかよく知らない単語で語り合っている。南米の名前が出たかと思えば北欧の名前も出るので多分お互いに意味もなく話してるんだと思う。こうくんは俺はぽんこつなんかじゃないんですよ！なんて強弁していて、それを見てお兄ちゃんはけたけたと笑っている。
カオス、とはこういうことかもしれない。1人涼しそうな顔をしているけんけんさんに、なんで止めなかったんですか、と視線を送るも少しはにかんで躱された。自分の笑顔が強いことを知っているな、この人。
｢これどうやって帰るんですか｣
｢須貝さんと山本とこうちゃんは頼んだ。伊沢と砂川は何とかするからさ｣
けんけんさんにそう言われて、最初にお兄ちゃんのところに行く。どーしたんだー！なんて抱きつかれるけど、ここは家じゃないんだなあ。帰るよ、と頬をぺちぺちとすると渋々と言ったようにうー...と唸りながらゆっくりと立ちが上がってくれた。
こうくんのところに向かって帰ろっか、と促す。こうくんは凄いから1人でちゃんと帰る準備できるもんね、なんてあやすように言うとそりゃあね、なんて胸を張って言うもんだから、今のこうくんは幼稚園児と同レベルなのかもしれない。
問題は安心しきった顔で眠るよしあきさんだ。気持ちよく寝てるこの人を起こすなんてことは私にはできない。最終手段に出ることにして、よし、とよしあきさんを引き上げると同時に、私も回って背中に担ぐ。衝撃で起きることはなくてひと安心したところで、乱暴に伊沢さんとしんさんを正常に戻らせるけんけんさんにお会計をお願いした。コースです頼んでいたから最初にお金を集めていたのがここで役に立った。
ありがたいことに最寄りの家はお兄ちゃんの家なので、今日は泊まらせてもらうことにしよう。男の人にしては軽いであろうよしあきさんを背負って、しっかりとした足取りのお兄ちゃんと、それに対比するようにフラフラと歩くこうくんと並んで見慣れた家に向かう。
これはきっと、家に着いたらみんな玄関で行き倒れコースだろうな、なんて予測していたことはやっぱり当たって、私以外はすぐに床とお友達になった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 462人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
おとわ(プロフ) - ゆっぴ/唯華cさん» コメント、リクエストありがとうございます...！今の小話が終わったら書かせて頂きます！ (2019年12月6日 8時) (
レス) id: c8d4633da7 (このIDを非表示/違反報告)
ゆっぴ/唯華c(プロフ) - 初コメ失礼します！頭楽しく拝見させていただいてます！リクエスト大丈夫ですか？風邪でふらふらな主人公ちゃんのお話が読んでみたいです！これからも応援しています！ (2019年12月5日 23時) (レス) id: 7ff6de5a8e (このIDを非表示/違反報告)
たそ。(プロフ) - おとわさん» そんな言ってもらえるほどの奴じゃないですよ！！こんな奴で良ければ仲良くしてやってくださいな。 (2019年9月17日 19時) (レス) id: 1c4af94c04 (このIDを非表示/違反報告)
おとわ(プロフ) - たそ。さん» コメントありがとうございます！たそ。様得なら何よりです...！ありがたい言葉を励みに頑張ります！！ (2019年9月17日 2時) (レス) id: c8d4633da7 (このIDを非表示/違反報告)
たそ。(プロフ) - 続編おめでとうございます！須貝さんがお兄ちゃんは我得すぎるので本当にありがとうございます←これからも更新楽しみに待ってます！！ (2019年9月16日 20時) (レス) id: 1c4af94c04 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：おとわ | 作成日時：2019年9月15日 23時
