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「そういえば山本さんはないんですか?恋バナ」
こうくんが思い出したようによしあきさんに話しかける。確かによしあきさんモテるだろうし彼女の1人や2人くらいそうだよね。
「え〜僕?ん〜彼女いた事無いんだよね〜」
お恥ずかしながら、なんて笑いながら言うよしあきさんに私もこうくんもびっくりする。だって普通にいそうじゃんね。
「え、じゃあ好きな人とかは?いるんですか?」
「そこまで言う?ん〜じゃあ秘密だよ?」
そう言って口に指を添えてしーっ、なんてポーズをする。あざとい、あざとすぎる。
「今好きな人が僕の初恋」
私もこうくんもその言葉にきゃー、なんて答えて顔を手で隠す。甘い、甘酸っぱい...かわいい...。
こうくんはまだ話を続けるつもりでどんな人なんですか!?と聞いている
「僕より背が低くて、子供みたいなのにふとした時に大人っぽくなって、めちゃめちゃに可愛くて、僕のことを変なあだ名で呼んだことあったり、お茶目な部分があって...諸々含めて素敵な人!」
恥ずかしそうに目を伏せながら話すよしあきさんが可愛くて、好かれている人も、よしあきさん自身もすんごい素敵な人達だなあって思った
「え、それって「お待たせ末っ子トリオ!待たせたな!」
こうくんが何か言いかけたところにお兄ちゃんがやってきた。お兄ちゃんの声しかしなかったけど、その後ろにはたくろーさんも伊沢さんもいた。
あとはふくらさんが来たら今日の動画撮れるね、と伊沢さんが言っていたので、私はたくろーさんと撮影の準備をした。
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「え、いや、山本さん、もしかして、ってかもしかしなくても」
山本さんに聞いてみても何が〜?なんて躱される。
何が、どころかむしろあれは聞いていても誰のことだか丸わかりだ。本人は全く気づいてないだろうけど。
山本さんは、きっと、ではなく確実にAのことが好き、なんだろう。そう心の中で1人で考えると少しだけ嫌な気分になる自分がいた。
いやいや、まさか。彼女はオフィスにいる時は真面目だけど、普段はめちゃ子供っぽいし、わがままな部分だってあるし、甘えん坊だし、そんな、まさか。
なんて自問自答してるけどいつもは自分でも分からない心のうちが、こういう時だけ早く理解しろ、と鼓動を早めて訴えかけてくる。
(あー、もう、俺もかよ)
認めてしまえば、俺の頭の中に浮かぶ女の子は彼女だけで、今はただ、前途多難であろう自分の恋の行方に、ため息をつくしかなかった。
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かすがわ(プロフ) - 楽しく小説読ませていただいてます! 少し気になっしまったので、言わせていただくのですが、福良さんは河村さんのこと確か「河村」呼びだった気がします…! (2019年9月19日 23時) (レス) id: 13a71039dd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:おとわ | 作成日時:2019年9月5日 0時