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動画が出たことによって、リスナーさんからそうくんの出演番組とか出版の本とか、東大王のよかったシーンとかが沢山送られてくるようになって、嬉しいけど少しだけこそばゆい恥ずかしさを覚える。そりゃファンだけどめちゃめちゃ大好きみたいで恥ずかしい。
講義を終えて電車に乗ると、今だけは会いたくない人がいたので、顔を背ける。でも時すでに遅し、その人は私の方へとやってきた。
「あれ、俺のなかなか古参ファンのAちゃんじゃないですか」
「絶対そういうこと言われると思ったんでそうくんに会いたくなかったです」
心外だなあ、なんて頬を指で撫でるそうくん。やっぱり顔がいい。これだけ言うとただのファンだけど、綺麗な顔立ちをしていることに変わりはない。ていうかQuizKnockのライター陣には顔が整ってる方が多すぎる。まじで私場違いじゃないか不安。
「俺はAちゃんにああ言って貰えて嬉しかったよ?俺、Aちゃんが高校生クイズ出てた時めちゃめちゃ応援してたし、優勝して欲しかったよ。まあ言うなれば両思いだね」
ふわりと笑ったその顔に悪意なんてこれっぽっちも含まれてなくて、憧れの人が自分に向かって微笑みかけてくれる、褒めてくれる事実に顔が赤くなる。
「もしかしなくても照れてるんでしょ。まだまだAちゃんは子供だね」
意地悪く目元を下げるそうくんは、バカにしてるに決まってるのにそれすらも絵になるのに少しだけ腹が立つ。
カーブに差しかかるところで車体が大きく揺れる。椅子に座ることが出来なかったので、かろうじて届く吊革に手を伸ばして身体が揺られる。大きく揺れていた私の身体は、いつの間にか温もりに包まれていて、少しの振動も伝わらなかった。
「Aちゃん軽いんだから直ぐに揺られちゃうでしょ。体幹強くても今のはさすがにきつかったね〜。俺が支えとくから、吊革から手、外しなよ。しんどいでしょ?」
しんどいだなんて一言も言ってないのに察してくれる優しさに甘えて、肩から伝わる温もりに集中させる。好きになった、憧れになったのはテレビからだから、謂わば顔とか立ち振る舞いなんだろうけど、それを抜きにしてもやっぱり素敵な人だな、と思う。
きっとテレビで見なくても、私はこの人のファンになってたんだろうな、なんて心地いい揺れに変わった電車の中で、今を噛み締めるように思った。
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かすがわ(プロフ) - 楽しく小説読ませていただいてます! 少し気になっしまったので、言わせていただくのですが、福良さんは河村さんのこと確か「河村」呼びだった気がします…! (2019年9月19日 23時) (レス) id: 13a71039dd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:おとわ | 作成日時:2019年9月5日 0時