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俺はさ、と話し始めるお兄ちゃん。いつもとは違って、たまに見せる真剣な目で、私も背筋が自然に整った。


「Aはそんなことまで考えなくていいと思うよ。ここにいる人はみんな賢いし、Aよりは大人だし、子供みたいなトラブルとか起こさないと思うよ俺は。だからAがそんな気負いすることじゃないんじゃない。好きなようにしろよ。伊沢が反対しても俺は賛成するよ」


「僕は面白いほうにつきまーす」


むらたくさんの間延びした声も聞こえて、私は口元に笑みが浮かぶ。お兄ちゃんも、むらたくさんも、ほんとにいい人なんだなって改めて思う。少しだけ気が楽になったし、みんなの手は止まってるし、わがままを言わせてもらおうか。


「じゃあとりあえずみんなでご飯食べに行きませんか!」


手始めの好きなことがそれかよ、と笑うお兄ちゃんとパスタ食べたい、と呟くむらたくさん。実のお兄ちゃんだけじゃなくて、素敵な何人ものお兄ちゃんにかこまれて、私は幸せものだ、なんてつくづく思うのです。


3人で近場のイタリアンのカフェに向かう途中で、オフィスに来る途中だった伊沢さんと合流して、4人で向かうことになる。少し昼をすぎた時間だったからか、カフェはあまり混んでいなかった。


それぞれ好きな物を頼んで、伊沢さんがそういえば、と口を開く。どうだったの?と聞かれるそれは、この前の旅行の感想を求めてるのだと直ぐにわかった。


「楽しかったですよ!久々でしたし、袴とかも着させていただいて大満足の旅行でした」


「誰かとそういう雰囲気になったりとかはしたいの?」


口に含みかけた水を一旦戻して一息つく。え、いやこの人なんで急にそんなことを口に出したの?なんて顔をしてると、その顔は何も無かったのかー、と残念そうにする伊沢さん。


「俺的にはAちゃんの恋バナ聞きいたいんだけどなあ」


揃いも揃ってこの人たちは青春時代真っ盛りのまま時が止まってるのじゃないかっていうくらい私よりも浮き足立った話を好む。別にそういう話は、なんて言ったのにむらたくさんが今さっきの話はしないんでいいですか?なんて行ってくるものだから結局同じ話をする羽目になった。一通り話終えるとまた伊沢さんが口を開く。


「いいねいいね。俺そういうの好きよ」


「そういう伊沢さんは恋バナないんですか。あとお兄ちゃんとむらたくさんも」


私が尋ねてくるとは思ってなかった3人が、少しだけ固まったような気がした。

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かすがわ(プロフ) - 楽しく小説読ませていただいてます! 少し気になっしまったので、言わせていただくのですが、福良さんは河村さんのこと確か「河村」呼びだった気がします…! (2019年9月19日 23時) (レス) id: 13a71039dd (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:おとわ | 作成日時:2019年9月5日 0時

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