検索窓
今日:2 hit、昨日:39 hit、合計:250,789 hit

040 ページ40

「もう出口見えてきたから、これの必要ないやろ」


そう言われて右手は温もりを僅かに残して空を掴んだ。寂しいような、安心したような、多分気持ちがごちゃごちゃしてるのは、お化け屋敷が思ったよりも怖かったからかもしれない。


出てくるとこうくんが遅かったけど何してたの?と聞いてきたけど、特段何かをしていたわけじゃないから何もしてないよ?と答えた。


こうくんに加えてよしあきさんも疑いの目を向けてきたけど、私とたくろーさんに心当たりはほんとになくて、ただただ首を傾けるばかりだった。


みんなのお目当てのところはこうして周りきって、袴を返しに行く。故郷だからこそこうして有名なところにはあんまり来ないし袴とかもそうそう着ないから新鮮な気分を味わえた。卒業式の時に来たけど、デザインも何もかも違うしね。


夜ご飯は野菜は嫌だというけんけんさんの意見を尊重し、海鮮料理が振る舞われるところに行って、海の幸を堪能した。いやー、おいしかった。ほんとに。
ここまで来るともうみんなクタクタで、ホテルに帰って直ぐに自室に篭もった。私はひとり部屋で、あとは年齢順でペアを組んでた気がする。


疲れてるし備え付けのお風呂に入ろうかな、と思ったけど、せっかくならホテルの温泉に行きたいので、階段を降り向かった。私以外にお客さんは片手で数えられるくらいで、まるで貸切状態の露天風呂で、綺麗な景色を眺めていると、ぼーっと思い出が蘇ってくる。


最初はお兄ちゃんに電話をかけただけで、QuizKnockに入るなんて思ってなかったなあ。当時のことを思い出して口元に笑みが浮かんでくる。高専入学時からお兄ちゃんのTwitterに顔出しはしていたから、ライターのみんなも私のことは顔だけは知っていたけど、実際、いや間接的に話すのはスマホ越しの電話でだった。


お兄ちゃんは撮影で取れなくて、急遽そこにいたよしあきさんとこうくんが電話をとったらしくて、私も向こうもお互い敬語だし無言だしでほんとに気まずかったなあ。それから交友が始まったんだけども。


卒研が終わって暇な私がオフィスに行っても、邪険にせず快く迎えてくれたみんなに、久しぶりの暖かさを覚えたっけなあ。今思えばただただ迷惑な人だけども。


懐かしい場所で懐かしい記憶を思い出して余韻に浸って十分な気持ちになった私は、のぼせる前に露天風呂を出て、部屋に戻ることにした。

041→←039



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.8/10 (152 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
363人がお気に入り
設定タグ:QuizKnock , クイズノック
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

かすがわ(プロフ) - 楽しく小説読ませていただいてます! 少し気になっしまったので、言わせていただくのですが、福良さんは河村さんのこと確か「河村」呼びだった気がします…! (2019年9月19日 23時) (レス) id: 13a71039dd (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:おとわ | 作成日時:2019年9月5日 0時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。