涙空の藍に。【ウォルピスカーター3rdアルバム発売記念小説】

あと六日 ページ3

それから、俺はウォルピスと二人で残りの時間を過ごすことになった。


「あと六日で世界は終わります。」
そんなこんなで同棲一日目。
とは言っても、特にすることは無い。
おはようございます、というのと同じように「あと六日」「あと五日」と言われ続けるのは中々に気が滅入る。
それは天気も同じようで、昨日から豪雨が続いていた。
窓の外を見ても誰も居ないし、耳を澄ませても雨音しか聞こえないから、何となく世界に俺達しか居ないみたいだ。
そんなことを考えている場合じゃないか、と妄想を掻き消し、意味もなく映像が流れるテレビの電源を切った。

ウォルピスはと言えば、

「＿♪」

ぼーっと窓の外を眺めては鼻歌を歌っていた。
こんな時まで歌か。
そう思ったけど、コイツはそういう奴(歌い手)だったと思い出して口に出すのは止めておいた。


そうして過ごしているうちに、電話もかかってきた。
家族から、友達から。
リスナーさんからもたくさんDMやリプライが来ていた。
ウォルピスも同じで、その対応に追われていたが、「大変だねぇ」と呑気なことを言っていた。
「どうせ六日後にぜんぶ終わるんだから、今は自分の事だけ気にしてれば良いのにね」＿と。

ウォルピスは、そんな事を考えて俺にあんな事を言ったんだろうか。
あんな風に、涙を流して。

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