あと七日 ページ2
「残念ですが、あと七日で地球は滅びます。」
何となくつけていたつまらないニュース番組の、いつもと変わらず疲れたように笑うニュースキャスターが言った。
前触れなんてもう既に何処かに吹っ飛んだらしい。
「…ウソだろ」
口に運びかけていた朝食のサンドイッチが、ぽろ、と手から落ちる。
テーブルの下に落ちてしまったそれを拾う気にもなれないでいると、ポケットの中のスマホが振動する。
半ば上の空になったまま画面の通話ボタンに触れる。
「…もしもし」
「もしもし?いすぼくろ?」
てっきり身内からだと思ったが、その予想は大きく外れた。
「…ウォルピス?どうした?」
「やー、ちょっとね」
こんなとんでもニュースが朝から全国放送されているというのに、随分呑気な声で話すウォルピス。
「今から会えないかな、と思って」
「…分かった。何処行けばいい?」
俺も何となく、誰かに会いたかった。
_いや、
「よっ」
外は土砂降りだった。
ニュースを信じてか、それともこの雨のせいか、外には人ひとり居なかった。
それには特に驚かないし、当然だとも思う。
自分だってあと一週間足らずで世界が終わるなんて時に外に出たりしないだろう_こうやって。
土砂降りの中傘を持って待ち合わせ場所まで全力疾走したりなんか、待ち合わせの相手がアイツじゃなかったらしてないだろう。
「随分息乱れてんじゃん。もしかして走った?」
膝に手をついて肩を上下していると、頭上からウォルピスの声が降ってくる。
お前の所為だろ、なんて言おうとしたけど、別に「走れ」なんて言われていない。
ただ俺が早く会いたかっただけだ。
それでも挨拶代わりの軽口くらいは叩いておこうと思って、息を整える。
話せるくらいに落ち着いてから、顔を上げた……けど。
「急に呼び出すとか、_っ!」
続きを口にする前に、口がそれ以上動かなくなった。
雨の中佇む彼は、傘もささずに。
頬に落ちる雫も気にせずに。
涙を一滴、水溜まりに落として言った。
「_俺と一緒に、残りの人生過ごしてくんない?」
足元の色々なものが混ざり合う水溜まりの中で、彼は悲しそうに笑った。
6人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
さながらチーズ - 感動しました!!しかもウォル可愛よずぎるし総受け神です!ありがとうございます! (2023年1月27日 18時) (レス) @page14 id: 2072c437e5 (このIDを非表示/違反報告)
用心棒(プロフ) - さくらさん» ありがとうございます…!!!とても嬉しいです(*´▽`*) 総受けですか〜〜!!頑張ってみますね・・! (2019年10月10日 20時) (レス) id: a847c84393 (このIDを非表示/違反報告)
さくら(プロフ) - とても面白かったです!いすぉるもそううぉるも好きなんで嬉しかったです。・・・次は総受けとかどうですか(コソッ (2019年10月8日 23時) (レス) id: bbdc90dad1 (このIDを非表示/違反報告)
用心棒(プロフ) - 柚の樹さん» ありがとうございます…!!気合いを入れて書いたのでそう言って頂けてとても嬉しいです!いすうぉるいいですよね(*^^*) (2019年9月29日 19時) (レス) id: a847c84393 (このIDを非表示/違反報告)
柚の樹(プロフ) - 最後までめっちゃ面白かったです!いすうぉる良き・・・ (2019年9月29日 16時) (レス) id: 1caf0e6895 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:用心棒(元アカツキ@鞠) x他1人 | 作者ホームページ:https://twitter.com/asgonitiak?s=09
作成日時:2018年11月4日 1時