サディスト少女は今日も今日とて、【文豪ストレイドッグス】 (ページ1)

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プロローグページ1

「…ふう、もう満足かなー。」

そう言って己の携帯端末のカメラ機能を閉じた少女は被写体に目を向ける。

…それは、川の中に上半身を沈ませていた。

その光景にもう一度口角を上げ、内心〝いい気味だ〟と呟いた所でふと、今度は川岸に目を向けた少女。
そこには白髪のみすぼらしい格好をした少年が居た。

仕事柄、他者の視線に気付きやすいと言う事は自覚していたが、これほどの遠距離でも気付くのか…
嗚呼、自分の有能さが此ればかりは面倒である。

そう自身を褒め称えつつも苦笑を漏らした彼女は、そのとき少なからず油断をしていたと言えるだろう。
………奴は、それを狙っていたかのように。唐突に、彼女の真横を駆け抜けたのだった。

グラリ。

意志とは真逆に傾いていく身体。

「…え。嘘、だろう？」

……最も恐れていた事が起こってしまった。

自然の摂理。人類には絶対に止めることの出来ないもの。

……風。それは強風、と呼べるものであった。

慌ててバランスを取ろうとした彼女の細い足に、魔の手が忍び寄る。

「…っ!?太宰ぃいいい!!!」

人間、失格。

彼に足を掴まれ、水の中へと誘われた彼女が落ちる事など明確だ。

ぽちゃん。

……静かに落ちていった彼女に、一人取り残された不運な少年はより一層顔を青くするのだった。