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「二宮様、お待ちしておりました。」
スタイリッシュに黒のスーツを着こなす男性がニコリと笑う。
そこまで来てもまだ私は、何かの間違いじゃないかと思った。
だって、
高級そうなふわふわの絨毯に落ち着いた内装。
店内は照明は全体的に抑え気味なのに、
カウンターの上ある間接照明はスポットライトのように鉄板を照らしていて、
流れている音楽は、
会話もお肉の焼ける音も邪魔しない程度の音量の、
おしゃれなジャズ。
A「(こんなところ…。)」
自慢じゃないけど来たことない……。
どう考えたって今の私には不釣り合いな場所で、
なんだか、緊張してきた…。
(仕事帰りだからオシャレだってしてないしッ！(ノ◇≦。))
だけど“二宮様”っていうのはやっぱりコイツのコトで、
「お席にご案内いたします。」
先を歩きだした男性にコイツはスタスタとついて行く。
私はと言えば、
A「( ゜Д゜)………。」
ぽかんと間抜けな顔をして、コイツに手を引かれていた。
時折 後ろを振り返りながら男性は、
賑わう１０人ほどが座れるメインカウンターの後ろを通り過ぎる。
「こちらのお部屋でございます。」
案内されたそこは個室で、
４人はゆったりと座れる半円で出来たカウンター席があった。
「どうぞ。」
A「あ。ありがとうございます…。」
四人掛けの真ん中の、引かれた椅子に腰かける。
席について顔を上げるとカウンターの向こうは一面ガラス窓で、
目の前には都会の夜景広がってる。
まさに、デートにぴったりな景色。
「本日はお越しくださいましてありがとうございます。」
それを遮ったのはコック帽をかぶった男性で。
にっこりと微笑みながら自己紹介のようなコトをしてくれた。
――――――、と思うんだけど…、
緊張のせいか全然 頭に入ってこない。
そんな私の隣でコイツはシェフと２言３言話しをすると、
二宮「お前は？ナニ飲む？」
慣れた手つきでワインリストを差し出した。
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作者名：舞
作成日時：2016年5月15日 0時
