ドライフラワー (ページ9)

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店を閉めてから家に帰り部屋の窓を開けて月を眺めた
今日は三日月だ。…彼の目に似てるな

『ってまた私は…』

今日ハッキリと振られたでしょ。…別に好きって訳ではなかったもん。ただちょっと気になる雰囲気をまとってたというか…私は一体誰に言い訳をしているんだか。

『はぁぁぁ…』

深い溜息を零しながらベッドに倒れ込んだ

あーあ。絶対変なやつだと思われた。きっと私の事ストーカーだと勘違いしてるよ。まあ後つけてたんだから思われても仕方ないけど…
でも名前を知れたのは嬉しい…かも。

『フェイさん…か』

「お前何がしたいか」

『え？…きゃあああああ！！！』

突然声がして顔を上げるとフェイさんが窓に座っていて私を見下ろしていた

「うるさいね…」

『ごめんなさい…ってなんでここに…！？』

「お前の行動理解できないよ。なぜワタシをつけてたか」

『だからそれは…フェイさんの事が気になって…』

「なぜ気になる」

『そんなのわからないよ！ただ気になったんだもん！』

なに声を荒らげているんだ。ムキになって馬鹿だな…私。

「…名前は」

『え？』

「お前の名前、聞いてるよ」

『えっと、Aです…！』

「そうか」

それだけ言うと窓から降りようとしているのを見て咄嗟に引き止めてしまった

『まって！！』

「…なにか」

『どうして私の名前を…？』

「気になただけよ」

『！』

その言葉に心臓が大きく揺れドキドキとうるさいくらいに鼓動が速まった

『フェイさん！』

「…」

『また…会えませんか？』

「…気が向いたら考えるね」

『！はいっ』

嬉しくて笑顔で返事をするとフェイさんはそっぽを向いた

「…フェイタン」

『え？』

「ワタシの本当の名前ね」

『フェイタン…素敵な名前ね！』

「…」

私の言葉に彼は何も言わずに窓から飛び降りてしまった
窓の外を覗くともうそこに彼の姿はなく三日月だけが綺麗に浮いていた

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