ドライフラワー (ページ17)

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あの後お花の発注やお手入れをしているといつもより時間が遅くなってしまい慌てて店を閉めた
家までの帰り道、フェイから貰った花束を見ては頬が緩んだ

どの花瓶に入れようかな〜というかどうせなら新しい花瓶調達しようかな！

なんて1人で浮かれていたその時、突然背後に気配を感じ振り返った＿＿それと同時に口元を手で覆われた

「今すぐ死にたくなけりゃ騒ぐな」

『！？』

見知らぬ男に体を抑え込まれ身動きが取れず恐怖で体がカタカタと震えた
もしかして…昼間警察の人が言ってた…！

「女がこんな時間に1人で出歩くなんて危ないな〜」

『…』

「知らないの？最近女を狙った殺人鬼が出るって話」

『…っ』

「花束なんか振り回しちゃってさ〜笑」

『！んーーー！んーんー！！』

私から花束を奪い取る男に取り返そうと暴れると男はそれを床に叩きつけた
そして私に覆いかぶさりナイフを振り上げた

その時、頭に思い浮かんだのはフェイの顔だった。
こんな事になるならやっぱりあの時ちゃんと伝えてるんだった。

振り上げられたナイフを見て涙を浮かべまぶたを閉じた時、風を切るような音と鉄の香りがした
ゆっくりと目を開けるとそこにはフェイが私を見下ろしていて私の上には男が倒れ込んでいた

『フェイ…！』

「…」

フェイが助けてくれたんだ…！
嬉しさで胸がいっぱいになり立ち上がろうと地面に手を着くとヌルッとした感覚に不思議に思い手の平を確認した
暗くてよく見えなかったが月明かりに照らさると目の前の光景に言葉を失った

『…え？』

なに、これ…
私を殺そうとしていた男は何故か死んでいて私の手は男の血で真っ赤に染っていた
理解が追いつかずゆっくりとフェイを見上げると黙って私を見つめていた

『フェイがやったの…？』

「そうよ」

『…ははっ、冗談だよね…』

「ワタシが殺した。初めてじゃないね。何度も殺した」

『…』

淡々と言うフェイに言葉が出てこなかった
フェイが…殺人鬼…

「お前とは住む世界が違うね」

『…』

「ワタシにとてはただの暇つぶし。でももう飽きたね」

『…飽きた？

「あぁ。もうお終いよ。もう二度と会うことはないね」

それだけ言うとフェイは振り返りその場から離れようとしていた
それを見た私は咄嗟に起き上がり後ろから抱きついていた

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