34:我々だ側視点 ページ34
「いただきます」と言った時に埋まっていなかった席は、今も尚、皆の空っぽになった食器と同様に空席のまま
待っていても仕方ないと言うことで、命を頂いたことについて今いる者だけで感謝をした
その後トントンは部屋の案内をするため、エニスと少しばかり表情がこわばっているアルを連れて食堂を出る
ショッピはエニス目当てでついて行こうとしたが、オスマンがすぐさま引き留めたので、それは叶わなかった
その二人がおそらく寝静まった午後11:30頃の事
玄関の扉が開け放たれる音と共に、館内がやけに騒がしくなった
「やっと帰ってこれた……」
「こんな長引くとは思わんかったな!!」
「ほんまに。アイツらしぶとすぎやろ」
「…腹減った」
げんなりと肩を落としているのは、他の三人に比べて少々背の低い”天の面”の男
声を常に出していたのか、ガラガラとしていて聞き心地はそんなによくない
小さい彼とは対照的に、大きくてよく通る声の
ぱっと見サッカー少年のような格好をしている男は足を怪我でもしたのだろうか、隣の男に肩を貸して貰っている
その肩を貸している当の本人はニット帽を被った、全体的に黄色っぽい男だ
彼の背中が背負っているのは、土ではない赤黒いものがこびりついた少し古めのシャベル
翡翠の男は、外でずっと気を張っていたのだろうか
緊張の糸が途切れて館内へと足を踏み入れた途端、大の字になって横になってしまった
……大きな腹の虫の声が聞こえたため、単純に空腹のせい、なのかもしれないが
その4人を出迎えたのはこの館の主、グルッペン
背の低い彼には”ロボロ”
声の大きい彼には”コネシマ”
黄色の彼には”シャオロン”
翡翠の彼には”ゾム”
と、彼はそれぞれの名前を呼んだ後に、まずは風呂に入ること、その後医務室に行き、傷の手当てをして貰うことを命じた
やる気なさげに返事をして、疲れ切った体に鞭打つように、ゾムはロボロに引きずられて、4人は移動する
最後にグルッペンは言った
「一通り終わったら食堂に来い。お前達の食事と同時に、会議をしようじゃないか」
と。
その会議の話題になるであろう今日買った2人の事を思い出して、少しばかり眉を下げながら。
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作者名:ねっこんこん x他1人 | 作者ホームページ:http://nekokobuta
作成日時:2024年3月20日 2時