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「絶対にエニスじゃないとこの役目は務まらん。
ほら、ショッピお兄ちゃんだいしゅき、って言ってごらん」
「………………アル、席こうかんしましょう」
「ぇ………」

すっごい嫌悪感をむき出しにしたエニスが自分の席から降り、グイグイと俺の腕を引っ張って椅子から引きずり落とそうとしている

子供の力だから抵抗なんかしなくても椅子から降ろされそうには無かったが

どうすればいいんだよ

チラとショッピ様の方を見れば全力で首を横に振って、しまいにはエニスに後ろから抱きついてまで離れたくないと言う意思を示していた

「うっとうしいわよ、あなた!!」
「絶っ対にエニスと席を交換しちゃアカンからな、アル!!」

俺の中でエニスは自分なんかよりも立場は高いが、エニスよりも今の主人達の方が当然高い

つまり、ショッピ様に席の交換はダメと言われれば俺はエニスを見て見ぬ振りしかできない

けど、でもエニスは俺よりも上の人間で
加えて前の主人の娘だ

幼いけれど根っからの支配する側の存在だし、結局エニスにとって俺はペットでしかねぇ

俺を飼ったのはたった数時間の差だがフューラー様よりも、エニスの方が先だった

死んだ親からの引き継ぎ、みたいな感じだが

でも主人には逆らってはいけない。
エニスよりもショッピ様のほうが立場的に上であるし、でも

「こら、エニス。アルが困ってるから、手を離してあげるめう」

独特の語尾をつけた話し方をする声が聞こえたのは俺のすぐ右隣からだった

声の持ち主はエニスのすぐ側にまで移動したかと思えば、ベリッとショッピ様を引き剥がした

「ショッピ?いい加減離れてあげるめう〜」
「ぎゃー俺のオアシスがー!」
「はいはい、ロリコンは黙ってろ」

ぐっ、とショッピ様を押して無理矢理椅子に座らせたその男は全体的に深緑っぽい、糸目の男であった

医者とはまた別のふんわりとした空気感を纏っているが、妙に作り物っぽくて

例のあの男の笑顔がつい脳裏によぎって、体の内側が凍ったかのように思えた

糸目の男はショッピ様が動き出す前に、すかさずエニスを抱っこしたかと思えば、先程まで己が座っていたであろう俺の右隣の椅子に座らせ

当の本人はエニスが先程まで座っていた席へと腰をおろした

「ごめんな?アルは悪くないから、何も心配せんでええよ〜」

ニコリと効果音が聞こえてきそうな程の笑顔を浮かべた男は

「俺はオスマン。よろしくな」

そう言って、手袋を外したその両手で俺の左手を包み込んだ

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作者名:ねっこんこん x他1人 | 作者ホームページ:http://nekokobuta  
作成日時:2024年3月20日 2時

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