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「知るかよ!出てけお前、友だちみたいな顔して喋ってんじゃねーよ!」





玄弥の部屋から聞こえてきた大きな声に足を止める。

きつい口調は紛れまなく玄弥の声で、いったい何事なのかとゆっくりと襖を開けて中を覗き込む。





「えっ、俺たち友だちじゃないの?」

「違うに決まってんだろうが!」





中にいる竈門くんと言い争っているのか、と首を傾げるが2人の雰囲気は真逆だ。

呑気に煎餅を食べる竈門くんに、何故だか怒っている玄弥。





「どうしたの?喧嘩?」





あんなに怒っている玄弥を見るのは珍しく、恐る恐る2人に声を掛ける。






「A!玄弥が俺と友だちじゃないって言うんだ」

「てめぇは俺の腕を折ってんだからな、忘れたとは言わせねぇ」

「あれは女の子を殴った玄弥が全面的に悪いし仕方ないよ」

「下の名前で呼ぶんじゃねぇ!!」






竈門くんの言葉に、選別の日を思い出す。

確かにそんな事があった。もう随分前の事で懐かしく感じる。

それにしてもあんな風に怒る玄弥の姿に、実弥さんを重ねて思わず口元が緩んでしまう。





「このお煎餅おいしいよ、食べる?」

「クソが!」





噛み合わない2人の掛け合いに苦笑いをしながら、黙って様子を伺う。

不死川家に合わないのか、実弥さんも玄弥も竈門くんも毛嫌いしている様だ。

確かに彼は癪に障ることはあるが、根はいい子だと思っているからこそ間に入ることが出来ない。





「いらねーっての消えろ!」

「あれ…?歯が、抜けてなかったっけ前歯…温泉で」





竈門くんの一言で、途端に部屋が静まり返る。

話の内容についていけず、何と声を掛ければいいのか分からない。不思議そうに玄弥を見る竈門くんも黙ったままだ。

突如、玄弥と合った視線ですぐに悟った。ああ、話していた鬼化の事か。

にわかに信じ難い事だが、玄弥のことは信用しているしあの場で嘘なんてつくメリットが彼には何一つない。

竈門くんが抜けた前歯を見たのなら、再生したってことか。





「お前の見間違いだろ」

「見間違いじゃないよ、歯とってあるから」

「何でとってんなよ!気持ち悪ィ奴だなテメェは!」





どこからか、抜けた歯を取り出した竈門くんは手の平にそれを載せて玄弥に見せている。

膝立ちで竈門くんの手を覗き込むと、確かに抜けた歯を持っていた。

先程、前歯と言っていたが、玄弥の前歯はしっかりと揃っている。





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朝ギ(プロフ) - ゆきねこさん» コメントありがとうございます!更新遅くなってしまい大変申し訳ないです…これからも楽しく読んでいただけると嬉しいです! (7月13日 23時) (レス) id: 6f172a3ee3 (このIDを非表示/違反報告)
ゆきねこ - ふぁっ面白すぎて一気読みしました!更新待ってます! (2023年4月14日 9時) (レス) @page16 id: 0a7ce356e9 (このIDを非表示/違反報告)
朝ギ(プロフ) - ナハハさん» コメントありがとうございます!なかなか錆兎との絡みが少なく試行錯誤していますが、楽しんで読んでいただければ嬉しいです! (2022年12月7日 21時) (レス) id: 46cbb9d739 (このIDを非表示/違反報告)
朝ギ(プロフ) - あいせさん» コメントの有難いお言葉ありがとうございます!更新頑張っていきます! (2022年12月7日 21時) (レス) id: 46cbb9d739 (このIDを非表示/違反報告)
ナハハ(プロフ) - 私の推し(錆兎)の小説が少なかったのでこんなにも面白いお話に巡り会えてとても嬉しいです!応援してます! (2022年12月7日 11時) (レス) @page9 id: b3d00b40ee (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:朝ギ | 作成日時:2022年6月14日 22時

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