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「……そうよね。ごめんね」
彼女は俺から目を逸らして、少し慌てて箸を進める。
次々と空になっていくお皿を目で追いながら、甘露寺さんの食欲に驚きを隠せない。
「よく食べますね、それもすごく美味しそうに」
「だってどれも美味しいんだもの」
先程の気まずい雰囲気が一変して、まるでぱっと花が咲いたように笑う甘露寺さんは少し幼く見えた。
そんな彼女の横で、何の味もしない食材を口に運び無理矢理飲み込む。
喉を通る異物感に、なかなか慣れない。
「嫌いな食べ物でもあるの？」
そんな俺の様子を心配そうに見つめる甘露寺さんに、箸を置いて笑顔を貼り付ける。
これからは個室で食事をいただかないと駄目だ。
傍から見て俺の食事風景はおかしい。
「いえ、どれも美味しくて」
「そう、それは良かった。それと…さっきの話なんだけ」
甘露寺さんは言いにくそうに、もじもじと体を揺らしながら顔を伏せる。
さっきの話、はどの話題の事なのか分からずにただ黙って彼女の言葉を待つ。
「…不死川さんに弟は、居ないのよね」
「はい」
「何か事情があるはずなのに勝手なこと言ってごめんなさいね」
少し悲しそうに微笑んで、彼女は小さく頭を下げる。
甘露寺さんの安心感があるこの雰囲気はいったい何でなんだろう。
真っ直ぐと伝わる穏やかで優しい雰囲気が、どうも調子を狂わせる。
「実弥さんの言葉が全て正しいので」
にこり、と笑みを浮かべて両手を合わせる。
�爐潅攸�様でした�瓩頒譴�、甘露寺さんの顔を見ずに部屋から早足で立ち去った。
実弥さんは俺の全てだ。今もこれからもずっと。
それが他人には理解されないことは分かっている。勿論、実弥さんにも。
だが実弥さんと出会ったあの日からずっと俺にとってそれは当たり前の事で。
今更、覆ることなんて一切ない。
こんな風に無理矢理、離されても俺の中で実弥さんは絶対的な存在に変わりない。
そうでもしないと兄さんを追って自決してしまうのは、自分でも理解している。心が弱いせいだ。
実弥さんを信頼しているなんて綺麗事を吐いて、自分が生きるために実弥さんを利用しているだけなのに。
都合のいい嘘で塗り固まれた俺は、もうどうすることも出来ずに身動きがとれないでいる。
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朝ギ(プロフ) - ゆきねこさん» コメントありがとうございます！更新遅くなってしまい大変申し訳ないです…これからも楽しく読んでいただけると嬉しいです！ (7月13日 23時) (
レス) id: 6f172a3ee3 (このIDを非表示/違反報告)
ゆきねこ - ふぁっ面白すぎて一気読みしました！更新待ってます！ (2023年4月14日 9時) (レス) @page16 id: 0a7ce356e9 (このIDを非表示/違反報告)
朝ギ(プロフ) - ナハハさん» コメントありがとうございます！なかなか錆兎との絡みが少なく試行錯誤していますが、楽しんで読んでいただければ嬉しいです！ (2022年12月7日 21時) (レス) id: 46cbb9d739 (このIDを非表示/違反報告)
朝ギ(プロフ) - あいせさん» コメントの有難いお言葉ありがとうございます！更新頑張っていきます！ (2022年12月7日 21時) (レス) id: 46cbb9d739 (このIDを非表示/違反報告)
ナハハ(プロフ) - 私の推し(錆兎)の小説が少なかったのでこんなにも面白いお話に巡り会えてとても嬉しいです！応援してます！ (2022年12月7日 11時) (レス) @page9 id: b3d00b40ee (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：朝ギ | 作成日時：2022年6月14日 22時
