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「俺は剣士としての才能がないし、呼吸も使えない。日輪刀の色も変わらなかった。兄ちゃんと同じ風の呼吸が使えるAは凄ェよ」




玄弥に対して、何を言えば正解なのか分からなかった。

ちらりと玄弥の顔を見ると、彼は困った様に笑っていた。




「そっか…知らなかった」

「鬼喰いまでして、必死だよ」

「鬼…喰い?」




聞き慣れない単語に耳を疑った。




「鬼の一部を食べて、鬼化する」

「それって…玄弥は大丈夫?」

「特異体質らしい」




鬼への憎悪が強い実弥さんには絶対に言えない。

弟が短時間でも鬼化するなんて知ったら、黙ってないに決まってる。



彼は俺が羨ましいと言っていた。

実弥さんにあこがれて鬼殺隊に入り、剣士の才能がない事を知った時、どう思ったのだろう。

追い詰められた末に、鬼喰いを始めたとすれば、苦肉で皮肉な策だ。

呼吸が使えないのは鬼殺隊士としては不利な状況。

だが自らの欠点を補う手段を必死に考え抜いた玄弥は努力家だ。




「特異体質なら俺と一緒」

「……Aが特異体質?」




玄弥は不思議そうに首を傾げる。

肩が触れる程の至近距離で、まじまじと顔を見ると本当に実弥さんと顔立ちがよく似ている。




「A?」

「ああ、ごめんね。実弥さんにそっくりだからつい見つめちゃった」

「まだAの顔に慣れてねェから、あんま見ないでほしい…」

「えー、まだ慣れてないの?」

「A程、綺麗な人見たことなくて」





顔を真っ赤にして、段々と小さくなる玄弥の声。

俺の視線に耐えれなくなった彼は俯いてしまった。耳まで真っ赤に染るところも実弥さんと一緒だ。

玄弥の体の中に、実弥さんと同じ血が流れているって考えただけでも愛しくて堪らなくなる。

その血を一滴も無駄にしないように、玄弥は何があっても必ず守ると決めた。




「何の話だったかな?特異体質だっけ?」




実弥さんの事を考えると、思考が変な方向に向かってしまう。

気を紛らわす為に話題を戻すことにした。





「俺は痛覚を感じないんだよね」

「……え?何をされても?」

「斬られても、刺されても、何をされても」

「それって危ないんじゃ…」





俺の心配をする玄弥がようやく頭を上げる。

合わさる視線、彼の瞳の中に俺の姿だけが映っていた。





「今は味覚も触覚も分からなくなっちゃって…寒さも感じないし、人間離れだよね」





にこりと笑う俺に対して、玄弥は不安そうにしていた。





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朝ギ(プロフ) - ゆきねこさん» コメントありがとうございます!更新遅くなってしまい大変申し訳ないです…これからも楽しく読んでいただけると嬉しいです! (7月13日 23時) (レス) id: 6f172a3ee3 (このIDを非表示/違反報告)
ゆきねこ - ふぁっ面白すぎて一気読みしました!更新待ってます! (2023年4月14日 9時) (レス) @page16 id: 0a7ce356e9 (このIDを非表示/違反報告)
朝ギ(プロフ) - ナハハさん» コメントありがとうございます!なかなか錆兎との絡みが少なく試行錯誤していますが、楽しんで読んでいただければ嬉しいです! (2022年12月7日 21時) (レス) id: 46cbb9d739 (このIDを非表示/違反報告)
朝ギ(プロフ) - あいせさん» コメントの有難いお言葉ありがとうございます!更新頑張っていきます! (2022年12月7日 21時) (レス) id: 46cbb9d739 (このIDを非表示/違反報告)
ナハハ(プロフ) - 私の推し(錆兎)の小説が少なかったのでこんなにも面白いお話に巡り会えてとても嬉しいです!応援してます! (2022年12月7日 11時) (レス) @page9 id: b3d00b40ee (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:朝ギ | 作成日時:2022年6月14日 22時

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