４２ ページ43
.
｢映画とかかなぁ…｣
｢暗いと眠くなるって断られたことがある｣
｢あ…そうなんだ。どうしよう｣
デートなんて今までしたことないし、そういえば友達と遊びに行ったことすらあまりない。
そんな僕が椿くんを楽しませることなんて出来るのか不安になってくる。
ただでさえ目立つ椿くんの隣を歩くって考えるだけで緊張するのに。
｢俺も行ったら駄目か？｣
｢へ？轟くんも？｣
｢いや、椿が駄目って言うなら仕方ねェけど…｣
｢いいよ！皆で行く方が賑やかで楽しそうだし！僕から椿くんに聞いてみるね｣
轟くんも一緒なら安心だ。
明らか椿くんのことをよく知る人が一緒なら絶対に退屈させないだろうし。
最近は２人がたまに話している姿も見る。
きっと椿くんも轟くんが同行することに了承してくれるだろう。
急いで椿くんの部屋に向かおうとした時、ちょうどお風呂上がりの彼が廊下を歩いているのを見つけた。
｢椿くん！｣
｢そないに急いでどないしたん？｣
タオルを肩にかけて首を傾げる椿くんの髪から滴がぽたぽたと落ちている。
濡れているせいか朱色の髪がいつもとは違って見えて新鮮だった。
｢あの、週末のことなんだけど…轟くんも誘っていいかな？｣
僕の言葉に椿くんが少し顔をしかめた。
その表情はあまりいい答えが聞けそうになさそう…
｢じゃあ君が焦凍と行きなよ。僕は２人やないと行かへんから｣
｢ちょ、ちょっと待って！｣
にんまりと笑った椿くんがひらひらと手を振って僕の横を通り過ぎる。
慌てて引き止めて彼の前に立った。
｢嫌なら断ってきてくれへん？僕が緑谷くんと２人で行きたいからって言って。僕は遠くから見てるから｣
｢ええー…｣
前言撤回。
椿くんはやっぱり意地悪だ。
きっと轟くんの嫌がることを考えて、彼がどんな反応をするか楽しみにしてる。
こんな風に今まで椿くんに振り回されてきたのかと思うと、少し轟くんに同情した。
椿くんって本当に見た目とのギャップがすごい…
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1474人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ヒロアカ」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
朝ギ(プロフ) - じゃがりこさん» とても嬉しいお言葉、ありがとうございます。励みなります！ (2018年3月19日 23時) (
レス) id: 94da739f3c (このIDを非表示/違反報告)
朝ギ(プロフ) - 星鴉さん» ありがとうございます！私の限られた表現力で表せることは少ないですが頑張ります！ (2018年3月19日 23時) (レス) id: 94da739f3c (このIDを非表示/違反報告)
じゃがりこ(プロフ) - ただただ美しい 椿が美しい 一言で言えば大ファンです (2018年3月18日 1時) (レス) id: daac9369bf (このIDを非表示/違反報告)
星鴉(プロフ) - 美しい表現に惚れました！！主人公君大好きです！応援してます！！ (2018年3月10日 1時) (レス) id: 3edde29704 (このIDを非表示/違反報告)
朝ギ(プロフ) - 薔薇さん» ありがとうございます！楽しんでいただいて何よりです！ (2018年3月2日 20時) (レス) id: f0d5aace8d (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：朝ギ | 作成日時：2018年1月21日 21時
