【男主】落ちる様くらい綺麗に【僕のヒーローアカデミア】 (ページ46)

今日:18 hit、昨日:281 hit、合計:1,374,261 hit

４５ページ46

.

｢済んだ？｣

上方から聞こえた相澤先生の声。

近くを掠めた捕縛武器を避けて焦凍を腕を引く。

｢やっぱ来た、聞いてはったな…。それより先生の目あの事件以降不安定らしい。一瞬の隙……瞬きをして再び見られるその一瞬で体育祭の時みたいな最大の氷壁をお願い｣

｢！…ああ｣

案の定、僕らを追いかけてくる相澤先生だったが焦凍の最大出力の氷壁のおかげで視界から逃れる事が出来た。

あんなことがあったばかりにも関わらず冷静に動く僕の頭はいつもよりスッキリしていた。

思いっきり彼に打ち明けたおかげなのかは分からない。

｢おい、これからどうすんだ｣

｢一瞬であの氷壁を〝落とす〟その間は焦凍が囮になって。僕は相澤先生の見えないところから少し触れればいける｣

僕は氷壁に触れて全力で駆ける。欠片で僕の姿が相澤先生から見えないように全身を覆う。

｢つかまえたっ、｣

｢っ！！？｣

指先が触れたことで、手足の神経を落とす。

焦凍に先生をキャッチしてもらい、カフスをはめた。

｢大したもんじゃないか。油断した｣

｢もう逃げへん｣

僕に優しく笑いかける相澤先生。

いつでも討つ時間はあったのに、先生は僕と焦凍の話が終わるまで黙って待っていてくれた。

１番に条件を達成出来た僕らは、リカバリーガールの元へと歩く。久しぶりに歩く彼の横はなんだか居心地が悪かった。

・・・・・・・

騒がしく１日が過ぎ、僕は帰路を歩く。

電話口から少し遅くなってしまったことを心配する母の声を聞きながら見慣れた道を急いだ。

１番に自室へと向かうと、机の上に無造作に並べられた10輪の濃く深い黒色の椿の花を見て僕は息を飲んだ。

速まる鼓動がうるさい。

うまく呼吸が出来ずにその場に座り込む。

なんで、なんで…あの時と、同じあの花が。

忘れることが出来ないあの黒椿の花。

あのストーカーと同じ手口に足が竦む。ようやく忘れることが出来そうだったのに。

あの時と同じように始まるカウントダウン。

.