【男主】落ちる様くらい綺麗に【僕のヒーローアカデミア】 (ページ40)

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次の日、あれほど騒がれていたヒーロー殺しがエンデヴァーさんによって逮捕されたことはメディアに堂々と報道されていた。

何処から流出されたか分からないヒーロー殺しの動画を見ると、彼の理想や主張が浮き彫りになる。

この良くも悪くも抑圧された現代で、感化される者も多く出てくるだろうが所詮は人殺しの犯罪者。

が、敵から見ればどうだろう。

カリスマ性を兼ねた彼のやり方に憧れるだろう。

〝感染〟していく彼の理想。

イヤホンを外し再生途中の動画を削除する。

くだらない理想なんかに興味ない。

教室に入るとここでもヒーロー殺しの話題だったことに溜め息をついた。

もちろん焦凍とは目を合わせない。

｢ハイ私が来たってな感じでやっていくわけだけどもねハイ、ヒーロー基礎学ね！久しぶりだ少年少女！元気か！？｣

｢ヌルッと入ったな｣

｢久々なのにな｣

｢パターンが尽きたのかしら｣

職場体験直後に行われるヒーロー基礎学は救助訓練レース。複雑に入り組んだ迷路のような細道が続く密集工業地帯。

｢もちろん建物の被害は最小限にな！｣

｢指さすなよ｣

爆豪くん個人に言うかのようにオールマイトはにこやかに笑ったまま彼を指差す。

最初の組がスタートの位置につくと、残りのメンバーで始まるトップ予想。

予想外に先頭をいく緑谷くんの動きはまるで爆豪くん。

それに気付いた爆豪くんが悔しそうに歯を食いしばる姿を見て、にやけ面のまま彼の後からそっと近付く。

｢まぁた、ええ顔しとるよ爆豪くん｣

｢椿…テメェ人の顔見てニヤニヤすんのいい加減止めろ！ぶっ殺すぞ！近けぇんだよ！｣

｢嫌やわぁ、僕と爆豪くんの仲やん｣

｢何の仲だ！｣

こてん、と彼の肩に頭を置くと思いっきり跳ね除けられた。

首から変な音が聞こえた気がするが、当の爆豪くんは怖い顔をして睨みつけてくる。

後から感じる鋭い視線に振り返ると、そこには想像通り焦凍が居た。

パチリと合う視線に何とも言えない気まずさからすぐに逸らしてしまう。

ギャーギャーと騒ぐ爆豪くんの声も聞こえないほど、彼のことを考えてしまう僕の矛盾した気持ち。

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