【男主】落ちる様くらい綺麗に【僕のヒーローアカデミア】 (ページ36)

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｢あの、椿くんですよねっ！？｣

学校へ行く途中、名前を呼ばれたことで後ろを振り返ると見知らぬ他校の女子生徒が数人立っていた。

こんな雨の日にも関わらず、僕の事を待っていたのかスカートが少し濡れている。

｢なに？｣

｢体育祭！見ました！これからも頑張ってください…っ｣

｢わ、えっと…ありがと…？｣

半ば無理矢理押し付けられた２つの紙袋の中には手作りのお菓子と可愛らしい文字で書かれた手紙が沢山入っていた。

きちんとお礼を言う間もなく走り去る女子生徒達に首を傾げる。

あ、体育祭……テレビで放送されてたからか。

片手は傘を持っているせいでこんな雨の日に荷物が増えることは嫌だが〝頑張って〟と応援されたことは素直に嬉しかった。

手作りの物は苦手で食べたくないからクラスで配ろう。こればかりは仕方が無い。

｢なんだよお前！早速モテやがってクソ椿！やっぱ顔がよくねぇとダメなのかよー！この美形め！！｣

｢あげる｣

教室に入って早々突っかかってきた峰田くんに貰った手作りお菓子を差し出すと先程の勢いはなんだったのか、すっかり上機嫌で席に戻って行った。

｢やっぱすげぇなー、椿。お前宛てに何個か預かってんぞ｣

｢手作りの物、食べれないから代わりに食べて｣

｢かぁー、モテる奴は言うことが違うな！｣

嫌味ったらしく言う切島くんを睨みつけるも、爆豪くんで慣れているのか全く効果がなくにやにやと笑うだけだった。

たった１日で一気に注目の的とは…改めて雄英の凄さを実感する。

どうやら皆も登校途中に声を掛けられた様で、その話題で賑やかだったがチャイムの音と共に静かになるクラス。

｢相澤先生、包帯取れたのねよかったわ｣

｢婆さんの処置が大袈裟なんだよ。んなもんより今日の〝ヒーロー情報学〟特別だぞ｣

蛙吹さんの言葉を聞き、先生を見ると確かに厳重に巻かれていた包帯がなくなっている。

あれ程の怪我を治せるリカバリーガールってやっぱり凄い。治癒系…希少って言われてるだけある。

ちらり、と焦凍を横目で見ると以前のような冷たい雰囲気は無く、まるで憑き物が落ちたようにスッキリした表情をしていた。

爆豪くんが家に来た日、焦凍はお母さんのお見舞いに出向いたと冬美さんが嬉しそうに話していたのを思い出す。

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