【男主】落ちる様くらい綺麗に【僕のヒーローアカデミア】 (ページ32)

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ステージが崩壊した為に補修タイムによって休憩が挟まれる。

次の試合に備えようと控え室へ向かうと試合終わりの焦凍が前を歩いていた。

｢…椿｣

特に気にもとめずに彼の横を通り過ぎようとしたが、急に腕を掴まれる。

｢なに？｣

｢必ず勝ち進め。お前を越える｣

｢どうやろねぇ｣

彼の手を振り払い、歩みを進めようとするも再び強い力で掴まれる。

苛つきと疑心で顔を歪めるも彼は怯まない。

｢いったい何なん？｣

｢俺……なんかしたか？｣

予想外の言葉に思わずたじろいだ。

幼子が泣くのを我慢しているかのような苦しそうな表情だった。

彼の言いたいことはすぐに理解出来たが、僕はいつものように知らないフリをして笑みを貼り付ける。

｢何のことやろか｣

｢とぼけんな。中学の頃いきなり突き放した理由を聞いてんだよ｣

｢ああ、君がうざくなったからやない？｣

｢本気で………言ってんのか…｣

焦凍は酷く悲しそうに顔を歪める。

そんな彼を見て頼むからこれ以上僕に踏み込んで来ないで、と言いそうになったが慌てて口を押さえた。

焦凍に構うことなく控え室に向かい、部屋に入ると力無くドアに寄りかかりそのまま座り込んだ。

酷いことを言った。

そう思ったが僕が彼に友達を名乗る資格なんてない。

目を閉じれば、あの時の焦凍の姿をした敵の死に際が瞼に焼き付いて離れない。

｢何しとるんやろ…｣

自虐に笑い、大きな溜め息をついた。

・・・・・・

『爆豪対椿！爆豪のラッシュが止まんねぇ！今のところ攻撃全てを消滅させているがキリがねぇぞ！』

確かにキリがない。攻撃速度が速い上に常に距離を取られるせいで全く触れることが出来ない。

｢チッ…！｣

疲弊した所を狙うつもりなのか、機敏に動く爆豪くんを追うだけでも正直きつい。

｢お前、本当に無効化か？｣

｢は？｣

にやりと嫌な笑みを浮かべて小さな声で聞いてくる爆豪くん。恐らく敵襲撃の件で見たのか緑谷くんに聞いたのか…。

｢さぁ、どうやろ｣

適当に答えて挑発するように笑うと睨みつけられる。

鋭い視線に感じる威圧感。

隙をついて触れることを試みようとするも爆破で防ぐせいでなかなか上手くいかない。

煙幕のせいで視界も悪く、彼の姿も見えない。

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