【男主】落ちる様くらい綺麗に【僕のヒーローアカデミア】 (ページ29)

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もし勝ち進めることが出来れば、最後にあたるのは焦凍だ。いやでもその前に爆豪くんか。

中々の名前が揃っていることに、正直不安が過ぎるがこればかりは仕方ない。上には上がいるってことを思い知らせるいいチャンスだ。

とはいっても個性や身体の機能を落として勝ち進めるのが効率がいいが如何せんパッとしない。

だからといって本来の落椿を使いたくない気持ちもある。長年一緒だった焦凍ですら知らない秘密。

多少傷を受けても僕の個性でなんとかなる。

騒がしいレクリエーションの様子をぼんやりと眺めていたが、ゆっくりと瞼を閉じた。

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『ヘィガイズ！アァユゥレディ！？色々やってきましたが！結局これだぜガチンコ勝負！』

初戦は緑谷くんと普通科の〝心操人使〟くん。

尾白くんに事前情報を聞いた緑谷くんは分かっていると思うが彼の個性は〝洗脳〟。

緑谷くんは少し不安気で自信の無ない情けない顔をしているものの彼もまた１位を掴もうと必死に足掻く者。

突然走り出した緑谷くんの動きが急にピタリと止まる。全く動かない彼に早くも〝洗脳〟されたのかと小さく笑ってしまう。

『オイオイどうした大事な緒戦だ！盛り上げてくれよ！？緑谷、開始早々－－－－完全停止！？アホ面でビクともしねえ！心操の個性か！！？』

もう終わり？心配そうなクラスメイトの思いは儚く、緑谷くんは彼の言葉に従順だ。

くるり、と後ろを振り返りそのまま場外へと歩みを進める。

洗脳さえ攻略出来ていれば勝てたかもしれないのに、あまりにも早い決着に飽きてきた。

僕が思っていたよりも緑谷くんって案外たいした価値無さそうだな。

『－－－－これは…緑谷！とどまったあああ！？』

突如、強い風と響き渡るマイク先生の声に俯いていた顔を上げると先程とは違う緑谷くんの表情。

白線ギリギリで足を止めた彼に観客は歓声を上げる。

驚いた。

まさか彼が意地でも個性の洗脳を解くなんて。

負傷している左手を押さえながら個性のせいで酷く劣等感を抱いている彼に、綺麗な背負投げを決め2回戦へと進出を決めたのは緑谷くんだった。

次の戦いは焦凍だ。

ステージに立つ彼はなんとも言えない怒りに満ちた雰囲気を醸し出している。

対戦前にエンデヴァーさんにでも会ったのか…これは瀬呂くんが可哀想だ。

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