【男主】落ちる様くらい綺麗に【僕のヒーローアカデミア】 (ページ19)

今日:46 hit、昨日:141 hit、合計:1,373,201 hit

１８ページ19

.

｢僕そんな薄情な子とちゃうよ。あの時は襲われそうになったから〝殺しちゃった〟けど…警察も言うとった通り正当防衛やし。何より指名手配犯をいつまでも野放しにしとったあんたらプロヒーロー達のせいやん？違う？｣

｢………分かってる｣

「そうやね、雑誌や新聞の文面はこんな感じやなかった？誘拐殺人を繰り返していた凶悪な指名手配犯が逃げ隠れたのは凝山。そこで目を付けたのはあまりにも綺麗な少年だった。

数ヶ月に渡りストーキングを繰り返した犯人は少年の当時、最も親しい友人の姿に個性で化けて油断させ誘拐。

欲に我慢出来ずに襲い掛かった所を被害者である少年の個性によって殺される。遺体には臓器が何一つ残ってはいなかった」

ナレーション感覚で人事のように淡々と事件内容を語る僕に対して相澤先生は顔を歪めた。

これは当時の記事やニュースを暗記したものだ。それほど長く問題となっていた。

あの時、怪我は１つも受けなかったが犯人が化けていたのは、焦凍の姿だった。

この事は本人にも誰にも言っていないし、公表もされていない。

いくら全くの別人とはいえど

僕は1度、焦凍を殺している。

それから気が引けて自分勝手ながら、焦凍とは距離を置いた。

それまでは本当に親しいたった１人、信用出来る友人だったのに。

｢未成年やから顔と名前はメディアから守られたけど、敵側は何かしら知っている人がおるやろうね｣

死柄木弔と呼ばれていた人物は僕のことを知っている素振りは見せなかったが、彼に指示を出している黒幕はどうだろうか。

｢言い訳するつもりはねぇが、あの犯人は人の姿に化ける個性だったからな…捜査は難航していた｣

｢別に先生達、ヒーローを恨んでへんからそんな怖い顔せんといて｣

そう、僕は全く恨み辛みを感じていない。

あの後のカウンセリングはイラついてばっかだったけど。

いくら正当防衛だからといって人１人殺している人間を合格させる雄英は凄いよ本当に。

まぁ、残虐性があろうとも、あくまで僕は〝被害者〟だからかな。

｢13号先生も言うとったね。人を簡単に殺せる個性って｣

｢一応、通告しただけだからな。そう重く感じとるな｣

｢別に重く感じてなんかないわ｣

ぶっきらぼうに答えてドアの鍵を外し教室を後にする。

それにしてもやはり教師からはそういう目で見られているんだな、と小さく溜め息をついた。

.