折軸編-第五話- ページ6
リョウメンスクナの厨子を気にしていないのか、この狭い部屋を唯我独尊に暴れている。
カチカチと歯のようなモノを鳴らし、人間か疑わしい様子で物部は突っ込んでくる。捕食の動作である。狙われた与謝野はその歯を鉈で弾きながら、横へ飛ぶ。
「基本的に噛まれたら即効で半殺しにしてあげるから安心しな!」
「えっ半殺し?」
曉は首を傾げ、与謝野を見る。これは武装探偵社なら分かるが、彼女は別に全員の異能を把握する必要はなかった。
「全員絶対噛まれるな!」
国木田の言葉によく分かっていない曉以外は頷いた。ちなみに言うつもりはない。尤も、説明してくれたであろう碧海は目の前のことから逃亡中だ。曉は肩を竦めて武装探偵社達が必死に抗っている間に移動する。瓦礫に座り込んだ仮にもエージェントの彼女の頬に思いっきり掌を叩き込んだ。この部屋の支配者になった物部を放っておいて、ずっと現実逃避していた碧海は瞬きを繰り返して片手を上げて目の前の友人に謝った。
「これが人間の本質って思えてくるレベルだな……」
しみじみとこの現状にようやく直視し始めた彼女に曉は額に手を当てた。
「やめろ、醜くすぎる。っかなんだよあれ。リアル妖怪任侠マンガ?どっちかっていうと今は呪い合う漫画かもしれんが、こっちよりはあっちに近くない?」
「大ムカデとか出てたっけ?うわぁ、覚えてねえわ、ってか、どっちも東京悲惨なことになってんね」
笑えると碧海はげっそりして、瞬時にモードを切り替えた。銃の安全ピンを抜き、直ぐに撃てる準備を整える。
「曉、お前【キャラ紙】持ってきてないの?あの強い奴」
「えっ……こんなやつに使うの?やだよ!?」
曉は両腕で罰印を作って否定する。異能は有能ではあるが、万能ではない。曉の『ダイス』に至っては、結構制約が多い。【キャラ紙】はわかりやすく、このダイスで制作したものかつ一度使用したキャラは使えない。ロストとなる。
「私の幸運の集合体だぞ、ムカデにくれてやりたくないけど!」
「他持ってきてねえのかよ」
「戦闘は私の役割に入ってないと思って持ってきたのは調査向きの奴らばっかですけど」
「お前次のTRPGの時、ライフル好き探偵ロストさせるわ」
ずっと固まって軽口を叩き合っていた二人に向けて、ムカデの尾が迫る。危ないと叫ぶ前に、碧海が曉の前に立った。
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黒井蜜柑(プロフ) - イレイザーさん» 了解です。いえ、こちらこそありがとうございます!なるべく!なるべく早く更新いたします! (2021年4月7日 17時) (レス) id: 17dfef3a09 (このIDを非表示/違反報告)
イレイザー - 黒井蜜柑さん» そんな感じです!わざわざ返信まで…優しすぎて泣きそ((泣きます! ありがとうございます! (2021年4月7日 17時) (レス) id: 835185f078 (このIDを非表示/違反報告)
黒井蜜柑(プロフ) - イレイザーさん» ありがとうございます!リクは募集してるので構いません!夢主の幼少期の写真をキャラ達とかが見る?みたいな感じ?ってことでしょうか……(想像がついてない) (2021年4月7日 15時) (レス) id: 17dfef3a09 (このIDを非表示/違反報告)
イレイザー - めちゃくちゃ面白いです!頑張ってください!後夢主の幼い頃の写真を載せるっていうやつをやってほしいです。(リクエスト募集していたら、ですが) 応援してます! (2021年4月7日 15時) (レス) id: 835185f078 (このIDを非表示/違反報告)
黒井蜜柑(プロフ) - アニヲタさん» そうなんですよね。賢治くん、本当最強で助かります…… (2021年3月2日 14時) (レス) id: 17dfef3a09 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:黒井蜜柑 | 作者ホームページ:http://minanami2.naho.ayaka.
作成日時:2021年3月2日 12時