【文スト】肆・ネットでマフィアの首領と友達になってた件

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「本当に大きいムカデですね」

賢治は珍獣と同様な視線を浮かべているが、一体ほどしか無力化できていない

「おかしいです。基本的に異能は一人につき一つのはず。でも、物部天獄はさっき別のものを使いました。関連性がない、つまり、二つ持っていることに──」

敦が太宰の顔を見上げながら、疑問を口にしていく。彼の疑問に、太宰はゆっくりと首を横に振った。

「ちがうよ。一番最初に使った「アレ」は異能なんかじゃない。

本当にただの──呪いなんだと思うよ」

太宰は苦々しく口を開き、物部天獄もとい大ムカデから視線を外して、敦を見た。

「呪いって……本当に存在するんですね」

視線を大ムカデへと戻した敦の声音はどこまでも感心に近いが、怯えも含まれている。自滅行為のように、呪いの産物は、物部天獄の異能によって踏みつぶされたものもいる。圧倒的な質量の暴力だ。お構いなしといった体で縦横無尽に建物を這う巨体。

浮かぶのは、かつてQ奪還作戦の際に出現した奇妙な化物だ。しかし、またそれとは似て非なる。首を横に振り、太宰は目の前のことに集中した。

太宰は敦の肩を優しく叩いた。敦の黄昏時を溶かしたような不思議な色の瞳に、自身が映る。

「ひとまず、呪いの有無よりも天獄の確保だ。動けるね？」

太宰の問いかけには力強い頷きが返ってきた。

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