折軸編-第七話- ページ12
「こう斬撃が飛んでいては近寄ることが難しいな」
国木田は撃っては隠れといった単調動作を繰り返しながら、リョウメンスクナの様子を見ている。国木田の撃った弾丸は一発も当たっておらず、すべて粉々に落とされている始末だ。
「どうした?もうこれで終わりか?」
賢治が飛びかかるが、軽く躱され、背中を蹴られて壁へと飛ばされていく。斬撃による高範囲攻撃に身体能力も高い。隙が見当たらない。
圧倒的な強者である。この場において、先程の大ムカデの物部天獄とは比べるまでもなく、そこに君臨していた。下手真似ができない。死が今まで以上に近く感じられた。顳顬から頬を伝い、顎へと汗が落ちる。
鏖殺、言葉通り皆殺しだ。全員沈黙するしかない。幻覚を使っても無意味だ。空間ごと刻まれてしまうのは自明だ。かと言って、具現化できるものでは難しいだろう。戦闘向きの異能をもってしても、斬撃による高範囲攻撃のせいで近接戦闘へと持っていくことは難しい。では、無効化の異能はといえば、高範囲攻撃は抑えられる可能性はあるかもしれないが、近接戦闘において圧倒的に不利だ。現状に置いて、詰みの状態であった。碧海は、やや考えた後に決意した。
──よし、曉に無理をしてもらおう。
「A、やっぱここだろ使う場所」
碧海は先程から紙一重で斬撃を躱していったこともあり息も絶え絶えな曉に話を持ちかける。議題は、大ムカデ戦において、拒否を示した【キャラ紙】の使用だった。
「……もって数分になるけどいい?HPでロストは確実だけど、体力も残ってないとそもそも、使えないし、さっきから異能力の連続使用もあって体力はそんなに残ってない」
確実にこれを使用すれば何もできなくなる。それはダイスを振る前から理解できている。旧友同士の視線が重なる。その表情は互いに真剣味を帯びていた。
「安心しろ、その後は私が死んでも護ってやる」
碧海の真剣ながらも、出た笑みに、かつての記憶が重なった。ああ、もうと曉は心が昂る。素でイケメンだった、だからこそ、彼女は役人になったのだ。
「分かった、少しだけ──時間をくれる?」
碧海は頷いて、通信機へと手をやった。江戸川へ指示を共有してもらうためだ。
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黒井蜜柑(プロフ) - イレイザーさん» 了解です。いえ、こちらこそありがとうございます!なるべく!なるべく早く更新いたします! (2021年4月7日 17時) (レス) id: 17dfef3a09 (このIDを非表示/違反報告)
イレイザー - 黒井蜜柑さん» そんな感じです!わざわざ返信まで…優しすぎて泣きそ((泣きます! ありがとうございます! (2021年4月7日 17時) (レス) id: 835185f078 (このIDを非表示/違反報告)
黒井蜜柑(プロフ) - イレイザーさん» ありがとうございます!リクは募集してるので構いません!夢主の幼少期の写真をキャラ達とかが見る?みたいな感じ?ってことでしょうか……(想像がついてない) (2021年4月7日 15時) (レス) id: 17dfef3a09 (このIDを非表示/違反報告)
イレイザー - めちゃくちゃ面白いです!頑張ってください!後夢主の幼い頃の写真を載せるっていうやつをやってほしいです。(リクエスト募集していたら、ですが) 応援してます! (2021年4月7日 15時) (レス) id: 835185f078 (このIDを非表示/違反報告)
黒井蜜柑(プロフ) - アニヲタさん» そうなんですよね。賢治くん、本当最強で助かります…… (2021年3月2日 14時) (レス) id: 17dfef3a09 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:黒井蜜柑 | 作者ホームページ:http://minanami2.naho.ayaka.
作成日時:2021年3月2日 12時