【文スト】続々・ネットでマフィアの首領と友達になってた件

螻蟻邂逅編-第二話- ページ8

懇意にしている刑事、箕浦より探偵社に持ち込まれたのはとある宗教団体についての調査だった。

なんでも、マークはしているが一類には捜査に切り出せないらしく、それでグレーゾーンの探偵社を頼ってきたというわけだ。

「太宰さん、カルト的宗教団体ってなんですか？」

敦が首を傾げ、近くの席の太宰へと尋ねた。太宰はデスクチェアをぐるりと回して、人差し指を立てた。

「過激な新興宗教団体のことを一般的に指すね。カルトっていうのは、そもそも、俗語でね。祭儀や、儀式、儀礼などを指す言葉が転じて、特定の人物・事物を熱狂的に崇拝したりすることを指すんだ。そうだね、ジム・ジョーンズの事件知ってるかい？」

敦は思考を巡らすが、ピンと引っかかることはなく首を振った。それから先の説明は、江戸川が持っていった。

「ジム・ジョーンズ。アメリカ合衆国の切支丹系新興宗教『人民寺院』の教祖だ。まぁ彼は、社会主義の信奉者でね。日本では珍しくないだろうが、アメリカ合衆国は、資本主義経済だろう？まあ、ジョーンズは社会主義こそ神の意思に沿った社会規範であると考えていたからね。この意志を伝導するために、彼は教団を興したといってもいい。まあ、問題の事件というのが、端的に言うと集団自害だ」

思っても見なかった言葉に、敦は喉からヒュッと細やかな息が漏れた。そして、最悪な事態を思い浮かべて、二人を縋るように見つめると、国木田が咳払いをした。

「敦。全てのカルト的宗教団体がそうとは限らん。それにな、敦」

頭に大きな手のひらが置かれた。

「最悪な事態を防ぐのが、俺達の仕事だ」

国木田の言葉に、力強く敦は頷いた。

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