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実況者の坩堝-前編-.2 ページ46

────異能特務課。

この国の異能者ならば、余程田舎でない限り、知らない人はいないだろう秘密裏にある組織だ。異能者を危険度に分け管理。危険度が高ければ高いほど、特務課からエージェントが送り込まれ、監視がつく。私は、其処まで危険度が無い故に、ほぼフリーだ。定期的に、報告はしなければならないけれど。私のような一般市民は、大抵そのような扱いだ。

その為、何故呼ばれたのかよく分からない。報告書も、この間出したばかりだ。疑問を浮かべていると、坂口さんは一葉の顔写真を私の前へと出した。知らない人だった。

「この男をご存知ですか」

そう言われて、再度見る。黒髪に青い瞳、美男子と言うべき容姿の持ち主がそこには写っていた。

「いやわかんないですね、え、誰この人イケメン」

私が指差すと、坂口さんは写真を持ち上げて一瞥する。そして、私を呆れたように見た。

「そうですか。イケメンだからといって紹介しませんからね、寧ろ危機感持ってください異能者でしょう」

紹介してもらおうなんて思っていないが、出会いが欲しいのは確かだ。そろそろまた別の人を祖母から充てがわれる自信がある。こっわいわ。

「一般人に無茶言わないでください」

一つ咳払いして、話が戻る。写真は彼の懐に戻された。

「先日起きた銀行強盗事件をご存じですか」

「どれですか」

「だと思って、新聞を用意しました」

いつの間にか呼んでいたらしい特務課の人が入ってきた。彼らは新聞を数刊置いて退室した。

「用意周到ですね!?」

テーブルの上の新聞を手に取る。それは、一面を飾った記事で、なんとなく覚えていた。見出しに踊るは、『幽霊の仕業か!?謎多き銀行強盗!』という、週刊誌に移動したほうがいいんじゃないのかといったレベルのものだった。

事件内容は、ざっくり言うと普通の銀行強盗と変わらない。しかし、異質なことが数点。まず、侵入方法が不明であること、そして、それに伴い、犯人も不明。その上、警備員が口を揃って言うのは、"不思議な生物を見た"ということ。それを見た"警備員が、精神に異常を来している"こと。

「で、私を呼んだってことは、この事件に私の異能が関係あるんですね」

新聞を置き、私は坂口さんの顔を見た。彼は眼鏡の鼻あてを抑え、話が早くて助かるとこちらを見据えた。

そして、数枚に渡る破かれた紙を置いた。それを見て、息を呑んだ。だって、それは。

「この紙から、貴方の筆跡が見つかりました」

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しき(プロフ) - 黒井蜜柑さん» 消しちゃいます…で、また入れてクリアして消して…((( (2021年9月5日 23時) (レス) id: f7f2a05743 (このIDを非表示/違反報告)
黒井蜜柑(プロフ) - しきさん» ノベルゲーム関連はやったら消しちゃいますよね…… (2021年9月5日 2時) (レス) id: 17dfef3a09 (このIDを非表示/違反報告)
しき(プロフ) - 黒井蜜柑さん» 私もこの間までやってました。全クリしたので消しちゃいましたけど(( (2021年9月4日 18時) (レス) id: f7f2a05743 (このIDを非表示/違反報告)
黒井蜜柑(プロフ) - しきさん» 昔してたんですよ (2021年9月4日 9時) (レス) id: 17dfef3a09 (このIDを非表示/違反報告)
しき(プロフ) - 四ツ目神知ってるのちょっと嬉しい…() (2021年8月31日 19時) (レス) id: f7f2a05743 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:黒井蜜柑 | 作者ホームページ:http://minanami2.naho.ayaka.  
作成日時:2018年9月1日 14時

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