【文スト】続・ネットでマフィアの首領と友達になってた件

実況者の奇譚.18 ページ18

爆発が見えた。

防音ガラスの内側で、それだけが外の状況を伝える唯一の手段だった。何人かそれに反応して、ガラス越しに下を見下ろした。その中の一人が、私だ。

「うわぁ、本当人がゴミのようだだわ」

気持ちの悪いほどの人の多さ。何故こんなに多いのか分からないくらいに人がいた。

「ムスカ大佐は黙ってろ」

隣で珈琲を飲む同僚を足蹴にし、ガラスに張り付く。後ろで同僚が珈琲カップを落とさないように慌てふためいている。

これじゃあ、視力をあげたとして原因が分かるわけがない。やるだけ無駄か。ファンぶったけど。もうやった後だけど。

「まじ此処にいる人間にバルスだわ」

私はスマホをポケットから取り出した。先程あげたツイートを見ると、友人の言葉が連なっている。

「お前がムスカ大佐だろうが」

もう一度同僚の足を狙って爪先で蹴る。良い所に入ったらしく、かなり痛がっている。私を恨めしそうにみているので、再びからかっておいた。

「お前ら何サボってんだ」

背後からの上司の攻撃に、私達は頭を抑える。その後、二人揃ってやばいと顔を見合わせて、ガラスから離れた。デスクに戻らねば、二撃目が来る。

「先輩痛いですって……」

ただ名残惜しげにちらりと見た先に、見覚えのある白衣を見た気がした。

「……リンタローさん？」

白衣と見て思い浮かぶのはそれだ。けれど、まあ、そんなこと無いか。ぐるぐると考えて、もう一度見ると、その姿は無かった。

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