貴方の温もり<eoheoh> ページ9
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「俺、Aさんの事が好きです。」
生まれて初めての告白。その日は、3月14日。いわゆるホワイトデー。
私の手には、二つの袋があった。
相手は同じクラスの、えおえお君だった。
『えっと…』
戸惑ってしまう。だって、えおえお君はモテるからだ。
まぁ、そんな彼にチョコを上げたのも事実。
…でも、教室で皆にあげていた覚えがある。 これは、嘘とかでも何でもないのか。
と考えていると、目の前にはえおえお君の顔が、ドアップに映し出されていた。
「好きです。」
『ち、近いから! ちょっと離れて!』
「あ、ごめん…」
『ううん!あんまり男子と話す事無いから、ビックリしちゃって…』
「そう…だったんだ…」
ガックリと肩を落とし、項垂れる。
そこまでされると、こっちが悪い事をしたのかと思い、罪悪感が生まれた。
『あのさ…何で私を好きになったの?理由を聞かせてほしくって…』
「あ、それなら、その黄色のリボンの方開けて見て。」
赤いリボンの方を開けると、中には桜色のハンカチ。
頭の中では無くしていたと思い込んでいたが、今思い出した。
"誰か"に貸したのだと。
そして、その"誰か"が、えおえお君だと言う事だ。
『これ、入学式に貸した…』
「怪我した俺に、Aさんがハンカチ貸してくれたんだよね。」
『そうだったね。わぁ、懐かしい。』
綺麗にアイロン掛けもされている。意外と几帳面な部分があるのだろう。
ハンカチを袋に戻して、私はえおえお君に向き合った。
『駄目だよ。 私なんかより、違う子の方が良い。』
最初は嬉しかった。
それと同時に、一緒に居て良いのかと、考えてしまったのだ。
『えおえお君ってモテるじゃん。それに…』
「そんなの、関係無いよ。」
しっかりと顔を見ると、いつもは眠そうな目をしている目が合った。
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