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「そういえばさ、バレンタインのお返しまだしてなかったよね」
「あ、そういえば貰ってない。てかFB覚えてたんだ」
「当たり前じゃん！Aから貰った手作りのお菓子すごい美味しかったし」
社会人にもなって、バレンタインに手作りのものを渡すということは躊躇われたけれど、喜んでもらえたようで何よりだ。目の前で食べられて、不味かったらどうしようと思ったけれどその心配は必要なかった。
「本当は俺も手作りで創れたら良かったんだけど…」
「FBの男の料理って洒落にならないからやめて」
「そう言われると思ってやめた」
FBも大人になったようで安心した。
「ごめん！」
「何が！？」
「いや…俺のセンスだから気に入らなかったら…」
そう言いながらFBが取りだしたのは小箱。
開けていい？と確認するとFBは頷いた。
中に入っていたのは、少し小さい指輪が２つ入っていた。
「ピンキーリング？」
「うん。ペアリングなんだけど、どうかな？」
ピンクとシルバーのリング。
こんなの、気に入らないわけない。
「FBってずるいよね」
「えぇ！何が！」
「こんなの、喜ばなわけないじゃん。ずるいって」
「それって褒められてんの？」
「自分で判断してくださーい」
FBが小箱からピンクのリングを取り、私の左手の小指にはめた。
「左手の小指にするピンキーリングってお願いごととか叶うらしいよ」
「どうせそれネットで調べた情報でしょ」
「そうだけど！ちゃんと、専門の人にも聞いたから」
ネットで調べたことは認めるんだ。
確か右手がお守り的な意味で、左手がお願い事…だったような気がする。うろ覚えだけど。
「FBはどっちの手にはめるの？」
「俺も左手かなぁ」
「わかった」
FBの左手の小指にシルバーのリングをはめた。こうしてみると、本当にただのベタベタなカップルだなぁなんて思う。
「Aは何お願いするの？」
「んー秘密」
「教えてくれないんだ」
「こういうのは言ったら叶わなくなるって言うじゃん」
そう言うとなるほど、と言った。
願うだけならタダだよね。
だったら、リングをはめる場所が一か所ずれてほしいな、なんて。
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