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なんで、どうして。あんなに、楽しみにしててって、笑ってくれたのに。
熱なんだから仕方がない。だって、コネだって人間だから、どんなに頑張ったって体調を崩してしまう。
どんなに誤魔化そうとしたって、それでも、やっぱり何とも言えぬ気持ちになる。悔しいような、悲しいような。
涙を流さないよう目を閉じて布団に横になったら、いつの間にか眠りについていた。
・
「……ん」
意識を取り戻した視界は、昨日見ていた景色よりも明るくて、白っぽい。眩しいくらいだ。
幻聴なのか、大好きな彼の声も聞こえる。どんだけ根に持ってるんだ、私は。
しかし、意識が戻れば戻るほどその声ははっきりと聞こえてくる一方で、耳から離れない。
まさか、と勢いよく体を起こせば、うわっ！という間抜けな声が聞こえた。瞬間的に顔を向けると、そこには。
「………おはよ、A」
「コネ……？」
優しい笑顔で笑いかけてくれている、大好きな、大好きなアイツが居て。思いっきり、その身体に抱きつく。
勢いあまって二人して倒れてしまったが、それでめ怒ることなく驚いた後いつもの声で笑っていた。安心する、その全てが。
私の身体を受け止めようと差し出されて巻かれた腕は、少し熱を帯びている。もしかして、はしってきてくれたのかな、なんて。
まず態勢を元に戻して、向かい合う。少しずつ、高鳴る鼓動。
「……昨日、ごめんな。会えんくて」
「ううん、大丈夫」
違う。全然大丈夫なんかじゃ無い。自我崩壊直前だった癖に、なに言ってるんだろう、私は。
でも、彼は分かっていたみたいで。もう一度、申し訳なさそうにごめんなぁ……と言って、抱き寄せる。
慣れない行為に戸惑っていると、首元に持っていかれる、暖かいコネの手。
身を震わせながらじっと辛抱していると、はい、というコネの声とともに手が外れた。
「え、これ……」
「一日遅れたけど、ホワイトデー。……好きやで、A」
微笑む彼か、堪らなく愛おしくて。
私は、首元で揺れるネックレスも気にせず、思い切り抱きつき、そしてキスをした。
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