桜が咲いたら、<zm> ページ22
まだ蕾の桜を眺めながら、溜め息を吐く。
今日は私の学校の卒業式だ。
……まあ、先輩のなんだけどね。
私はまだ二年生だから、実際手伝いにかり出されるだけの面倒な行事と言っても過言ではないだろう。
いや、だけって訳じゃないか。
だって…、
「……よ、A」
「あ、先輩」
「おう、何しとるん？」
「いやいや、呼び出しといてそれは何でしょうよ…」
はは、すまんな、という謝罪と、最早見慣れたへらり、とした笑顔を見せる彼。
ったく、もう。
「…で、どうしたんです？」
「…いやぁ？せっかくの卒業式やねんから、彼女とおりたいなー、っていうだけや」
嘘臭い。
…まあいいか、一緒にいれるのは私としても嬉しくはあるし。
言ってやらないけど！
「ふーん？あ、そうだ。
卒アル書かせてくださいよ」
「お、ええで。
俺も書いてほしいしな」
そう言って差し出された寄せ書きのページには、既に数名からのメッセージが綴られていた。
どう考えても気のある女子からだろと思わしきものから、よくわからない文章まで。
「…『暴力は最高の言語』…？」
「あー、それは気にせんとってくれ。
ほら、あいつら…えっと、グル氏が書いたやつやから！」
ああ、グルッペン先輩…。
確かにあの人なら書きそうだけど、卒業証書の寄せ書きとしてはどうなのだろうか。
そんな事を思いながら、持っていた緑のペンで文字を連ねる。
“これからも一緒にいようね”
…ありきたりだけど別にいいよね、本心だし。
「…これからも一緒に、か…」
「うん、大学行っても会え……」
「悪い、無理や。」
…………え？
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