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「今度から学校違うし、これで最後やな。一緒に飯食ったりすんのも」
『そっか、寂しくなるね』
「せやな」
『あ、ホワイトデーのお返し、貰ってない』
ハッとしてそう言った彼女
生憎、ホワイトデーは卒業する前日で
今日はもう15日だ
昨日はすっかりそれを忘れていたらしく、今になって思い出したようだ
「買ってないわ、お返し」
『え、珍しい』
「買う時間無かった」
まぁ、それは計画の為の嘘やけど
そんな事には気がつかず、こいつはかなりショックを受けているらしい
毎年あげてたしな
『まぁ、そういう時もあるし別に良いけど』
「そんで、悪いなと思ったから考えたんやけどな」
『うん』
「義理チョコ言うてもちゃんと私に作って貰ったもんやから、私もしっかり返さなあかんと思ってな」
よくわかっていないらしく、わかるように説明しろとでも言いそうな顔をしている
そんなに皺を寄せたら可愛い顔が台無しや
細かい説明をしていても長くなるだけだ
答えさえ出してしまえばそれで良い
「そんで、辿り着いた私の答えはこれ」
自分の制服からボタンをひとつ取る
ブチリと音がしてそれは手のひらに転がった
『え、第二ボタン?』
「お前、頭良いからこれくらい理解しろよ」
もちろん、これ以上何か口にすると恥ずかしさでどうしようもなくなるからだけど
『そういうこと?』
「そういうこと」
『自惚れても良い?』
「お好きにどうぞ」
公共の場にも関わらずにガッと抱きついて来たAを受け止めて、その柔らかな体を抱き締める
どれだけこの体を抱き締めたかったことか
『片想いじゃなかったぁ!』
「それはこっちのセリフじゃ、ボケ」
『え、いつから?』
「軽く3年前から」
『私より長かったぁ!』
素晴らしいほどのリアクションを取っているのをみると相当テンションが上がっているらしい
まぁ、それは私もなんだけど
「これで大学行っても会えるな」
『なんか、安心したよ』
「私も、安心したわ」
『じゃあ、とわこ帰ろ!』
「おう、いつかは同じ家に帰れるとええな」
『ちょ、な、なにを、あんたは気が早過ぎる!』
明らかに動揺するこいつは想定内で
その後、触れるだけのキスをすればりんごみたく赤くなって、口もきけなくなるのも想定内
高校生が盛るなだの言われたけど
さりげなく手を繋いでるのはあなたの方ですけどね
素直になりたい<フジ>→←お返しすんなら本命で<towaco>
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