検索窓
今日:5 hit、昨日:4 hit、合計:14,686 hit

ページ2

首を傾げる彼を他所に、私はまた窓を見た。

ぽつり、ぽつり、と真っ青な空に雲が浮かんでいる。
桜がなくても、ここは空気が澄んでいるから、雲の形をはっきり覚えられる。

あとで、お母さん達に空の写真を撮ってもらおう。


「…空が青い。
すげぇ、真っ青、真っ青だ!

写真撮りてぇ…。」


ふと横から声が聞こえたかと思えば、私と同じように空を見てはしゃぎ出すあろまくん。
そして、親指と人差し指で長方形の枠を両手で作って、そこから空を覗いた。


『ガキか』

「うるせぇ、俺にとってはこの一時が至福の時間なんだよバーカ」

『あーあ、あとでお母さんにこの空撮ってもらうから、あろまにも写真あげようと思ってたのになぁ、馬鹿、って言われたからあーげない』

「な…!?それはなしだろ、おい!!」


あろまくんに肩を物凄い勢いで揺さぶられるから、なんだか酔ってきてしまった。


『わか、わかった、から、ごめんてば、ゆ、揺らすのや、めて、よ』

「ほんとか!?」


私がなんとか彼に言うと、次に彼は私の頬を両手で抓り始めた。こうすると喋りにくい。
なんとかして、口を動かした。


『神にちかいまひゅ』

「本当か、否か。」

『本当です〜手を離してくださいいい』


どうやら満足のようで、期待に満ちた眼をしながら、あろまくんは私の頬から手を離した。

それよりも、私、あろまくんに抓られたんだ…


リア充みたいな事をして、はたしてお互いの欲望は満たされるのか。

結ばれるならもう早く結婚を前提に付き合いましょう。←


「あー、でも…」


そんな私の妄想を打ち砕いたのは、あろまくんだった。

でも、の言葉の続きが気になって、早く早く、と彼を急かした。


「…やっぱり、Aとも写真、撮りたいなぁ…」


そう言われてしまって、私の顔は恐らく真っ赤だろう。
そのあざとさが残っている横顔で、そんなこと言わないで。

狂おしいほどに愛しくなってしまう。
これは重症だ。

私がぎこちなく笑うと、彼は澄み切った笑顔で笑った。


『…しょうがないなぁ、撮ってあげるよ』

「上から目線かよ」


嫌々、そんなことはない。寧ろ一緒に撮りたかったレベルです。


風が吹いた。
会話も続かず、お互い、終わりの見えない真っ青な空を見続けていた。

このあと、こんな澄み切った空の下で、私は上手く笑えるだろうか。頬は紅潮して、なんだか無様な姿にはならないだろうか。

*→←さくらのしあわせ<あろまほっと>



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (27 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
21人がお気に入り
設定タグ:実況者 , 短編集 , 合作
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:16人のリスナー x他9人 | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2017年1月29日 17時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。