Yes,my lord <グルッペン> ページ31
北海道軍属大學。
仰々しい名の元に集められた私達は本日をもってこの学舎を卒業し、割り振られた軍へ、隊へ属していく事になる。
司令官補佐として命じられた私の成績は三席。全国規模で見ても50番台と言った所。
そして、栄えある主席として選ばれたのが、我らがグルッペン･フューラー。
主席はおろか、全国1位を当然のように取った、次期北海道総統だ。
「お、Aか、卒業おめでとう」
「グルちゃんもでしょ、おめでとう」
人っ子一人いない講義室に座る彼を発見し、こつりと証書の入った濃紺の筒を互いに合わせる。
在学中、彼とは補佐実習や訓練でお互いにペアとなるナンバリングをされており、仲良くしていた。
肩書きや成績など色々抜きで彼は面白い人で、楽しみながら試練を乗り越えられたし、彼のおかげで今の私の地位があるといってもいい。
彼との番号合わせが無ければ私の現在の就職もなかっただろう。
それだけ影響力のある彼とナンバリングされていたのは今後の自慢にもなるし勇気づけにもなる。
「で、こんな所で何してるの」
「記者共が多すぎるから隠れてる。
後でゆっくり話を聞いてやると言うのに、せっかちな奴らだ」
軽く溜息を吐く姿は次期総統としての使命感、と言うよりは、当然だとでも言いそうな雰囲気を醸し出していた。
動きに合わせて動く鮮やかな金髪が光を柔らかく反射して、何処か幻想的にも見える。
大学構内の、誰もいない講義室の似合う男なんてあまり居ないだろうに背景が彼に合わせているように自然と絵になっていた。
その事実が少し面白くもあるが、主席専用の袖無し外套を、俗に言うマントを余らせて座る彼は崇拝の象徴として当然たる姿を見せていると思った。
ある意味彼は罪深い。この姿で幾多の女性を惑わせてきたのは在学中も有名な話だった。
「Aこそどうした、お前もこれから忙しくなるやろ、早く帰らんでええんか」
「まぁ、ね。
実はと言う程ではないけど、グルちゃんを探してた所もある」
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