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―――主 side
ラ「ナツメくんって、普段何してるんスか？」
主「普段か？護衛役をしてるな」
ラ「え、護衛役？」
主「ああ」
ラ「だから、アイツらに護身術を教えてたんスねぇ」
主「子供だからこその扱い方もある」
ラ「すげぇ…」
主「これでも、ナファール家の当主だからな」
ラ「え…？ナファール、家…？」
主「？」
ラギーが突然止まるから、俺も止まりラギーの方を見ると次の瞬間には両手を握られ憧れの眼差しを向けられた
ラ「すげぇ…！本当に、ナファール家がここにいるなんて！」
主「…おい、この手を離せ」
ラ「本当にすげぇ！オレ、本物見たの初めてッスよ！だからあんなに武器持ってたんスか！」
主「あー、うん、そう」
ラ「シシシッ！家に帰ったら自慢してやろうっと♪」
主「ホント、お前は面白い奴だな。俺を自慢しようなんざ」
ラ「だって、かっけーッスから！」
主「……暗殺一族だぞ」
ラ「それでもいいんス！それに、かっけぇって思ったのはそれだけじゃないんスよ？」
主「？」
ラ「護身術教えてた時やオレを助けてくれた時のナツメくん、めっちゃカッコよかったッスもん！」
主「…フッ、変な奴」
ラ「シシシッ！何とでも言っていいッスよ」
純粋に笑うコイツの裏に、一体どれだけの苦しみや辛さが隠れているのだろう
昨日出会ったばかりの俺がこんな事を言う資格など無いんだろうが、出来ればコイツが泣かなくて済むようにと俺は心の中で祈る
ラギーに案内してもらったスラムはとても悲惨なものだった
餓死して死んだ子供、その肉を貪る者、少しでも裕福な者から金品を盗む者、食べ物を盗む者
言葉にしたらキリがないが、とても見ていられない光景だった。ラギーはこれが『普通』と言った
本当に、この国の王族は何をやっている？こんなにも貧しい人達に何故何もしない？
怒りは募るばかりだ
主「ありがとなラギー、お前のおかげでスラムを知る事が出来た」
ラ「いいんスよ、こんな事でいいならお易い御用ッス」
主「これをお前にやる。皆には内緒だぞ？」
ラ「え…？」
俺はラギーが居ない間婆さんや主婦達にこっそり聞いて作ったブレスレットを渡す
ラギーは驚いた顔をしたが、次の瞬間には嬉しそうな笑顔へと変わりブレスレットを受け取ってくれた
ラ「ありがとッス！でも、オレ…」
主「何も要らねぇよ」
ラ「それじゃオレの気が済まないッスよ！」
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作者名：抹茶ラテ | 作成日時：2020年7月4日 18時
