【BTS】Spring Day ー短編ー (ページ3)

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「いや、私女ですよ？」

驚きのほうが大きかったけれど、素直にうれしかった。

仲のいい練習生の仲間と先輩方とデビューメンバーに選ばれて

相当浮かれてた。

次の日から鬼練習が続いて

正直、折れそうになったり、後悔しそうになったけど

JK「体力ねえな、そんなんでヘタレてんのかチビは笑」

「･･･は？まだいけるし。
さっき怒られて泣きそうになってたグクとは違うの。」

JK「泣きそうになってなんかないし。
怒られたんじゃなくて注意されただけだし。」

プライドと意地が夢を後押しするように

煽りあって、強がって、

JK「デビューして、契約金入ったら
あそこのちょっと高い店で飯食おう。」

「グクのおごり？」

JK「同金額もらうんだから割り勘だろ？」

「同金額じゃなかったらどうする？笑」

JK「うわ、Aより低かったらショック笑」

「私より多くもらったら奢ってよ」

JK「まぁ、そういうことにしてやるよ」

一日、一日、一歩、一歩進むように

デビューに向かって必死になる日々が

辛くて苦しくも、今ではキラキラ輝いてる。

「また体が思い通りになったらな、」

冬の始まりの窓の外の景色が

冬の終わりのあの日に似ている。

学校が終わって事務所に向かっていた。

デビューと春が待ち遠しくて急いでたんだ。

「走らないで。急がないで。
横断歩道じゃなくて歩道橋を渡れば、」

今でも何度も夢に出てきて、あの日をやり直す。

何度やり直しても、どれだけ後悔しても

現実も夢も元に戻ってくれない。

信号無視で通過したトラックはきれいに私を撥ねた。

外傷は少なくて、1週間だけ様子を見た後

遅れを取り戻すため、デビューアルバムの録音をするため

録音室に入った。

PD「･･･A？」

音程が取れなくて歌えなかった。

俯くしかできなくて

「すみません、･･･すみません。」

脳の損傷が、少しずつ体の機能を止め始めた。

HS「A！2番に移動！」

「ごめん、･･･ごめん私もうだめだ。」

JM「何？どうした？」

「動かない、足が、左足が、」

ポツリポツリと

ゆっくり降り始める雨のように

症状がひとつづつ現れるたびに

撥ねられた時の何倍もの痛みに胸をつぶされて

「ごめん、私、もうできない。」

歌も、ダンスも

夢も日常もすべて諦めるしかなかった。