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JK「行ってきます。」
「行ってらっしゃい。」
久しぶりに漂う彼の匂いが遠ざかる。
本当に行ってしまうんだな、なんて思ってたら
パタパタと愛おしい足音を立てて戻ってきた。
JK「忘れ物。」
「何？」
「っあ、もお笑」
2枚のマスク越しに唇に感じる柔らかい彼の唇は
一瞬だけ触れた後、またもう一度ゆっくりと
私の唇を探るように啄んだ。
JK「俺のリップバーム、ここに置いていく。
病室乾燥してるから、使うたびに俺のこと思い出して。
万が一、記憶の部分に症状が出ても、俺のことは忘れないで。」
そう言って今度こそ本当に帰ってしまった彼の雰囲気を見送り、
残ったのは、彼が私の手に握らせてくれた
リップバームの小さい缶。
看護師「面会後なので手の消毒しますよぉ。
顔真っ赤にしちゃってー笑 キスでもしてたの？」
「はい笑」
看護師「やだあ、あんまり素直に言われても困っちゃうわ笑」
いつもの看護師さん。
どんな顔なのかは見たことないけれど
きっと今、優しい表情してるんだろうな。
看護師「次はいつ来れるって？」
「しばらく来れないみたいです。
彼、明後日入隊するんです。だから、休暇までは、」
看護師「そう、･･･そうね、二人ともすっかり大人になったのね」
「イムさん、」
看護師「んー？」
最近、思うんだ。
今回は入院になってからもう半年になる。
「あと何か月？」
看護師「･･･除隊は１年半じゃない？」
「そうじゃない。」
看護師「Aちゃんの退院はもう少し先よ」
「私、１年半もつ？」
看護師「･･･点滴からお薬入るよ。
痛みとか気持ち悪さ感じたら教えてね。」
「グクが帰って来る時、私いる？」
看護師「･･･、」
鼻をすする音。涙の匂い。
ねぇ、グガ。
ドアの向こうにいるんでしょ？
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作者名：玄兎
| 作成日時：2023年11月23日 2時
