#Rain ページ1
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突然降り出した雨。
日没後に降り始めるって予報は外れなかったけど
定時で帰れるなんていう目論見が外れて
傘もなく、タクシーも捕まらず
まぁ、捕まりそうだったけど家までの金ないし、
JS「……もう締めるんだけど？」
JH「ちょうどいいや。終わったら家まで乗せて。」
JS「とりあえず濡れたまま椅子に座らないで。」
会社の近くにあるカフェに入った。
ランチの常連でさ、俺が。
だから、ちょっと雨宿りさせてもらおうかなって。
ついでに家まで送ってもらおうかなって。
JS「なんか飲む？」
JH「でももう片付けるんだろ、」
JS「来たら金落としてけよ。」
JH「……ホットで。……ミルクたっぷりな。」
本当、抜かりねぇなこいつ。
「すみません、まだ大丈夫ですか？」
JS「いらっしゃいませ。どうぞ。」
カランとドアのベルが鳴って、
入ってきた女性に"どうぞ"なんていうジスに
お前さっき俺にはもう締めるって言った癖に
と思って、睨みを効かせた。
JS「…綺麗な女性は別なの。」
JH「はぁ、お前まじで、……っ」
滅多に他人を褒めないジスが
"綺麗な女性"なんて小声で言うから
大して興味もないのに、
まだ入り口でコートを脱いでいる彼女に振り向いた。
JS「いつものでいい？」
「雨宿りだけしようと思ってたんだけど、
……そうか、ジスさんはそう言う人だった。」
JS「どう言う意味？笑」
「え？なんですか？独り言ですよ。笑」
一目見ただけなのに、
店員と常連らしき人の会話を聞いただけなのに、
JH「……ジス、俺腹減った。」
JS「は？」
言葉と声のトーンが張り付いた笑顔と一致しないジスは
なんだかんだと文句を言いながらも
キッチンでサンドを作り始めた。
別に、2人の空間を邪魔したかったとか、
そう言うのじゃ、……
JH「あるかもしれない。」
JS「は？」
JH「お前その顔逆に怖ぇわ。」
俺のサンドが出来上がって、食べ始めた頃。
猫舌らしい彼女はすでにアイスコーヒーを飲み終えて
まだ止みそうにない窓の外を頻りに気にし始めた。
「ジスさん、ご馳走様。また来ます。」
JS「まだ雨だけど、いいの？」
「はい。ほら、あの車。」
JS「あ、…よかったね。じゃあ、気をつけて。
またお待ちしてます。」
見送った後のジスの苦い表情を見て分かった。
好きなんだな、きっと。
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玄兎(プロフ) - リリィさん» 嬉しいコメントありがとうございます。作者のリアル大人の事情で更新止まっちゃってますがそのうち続き書きますのでお待ちくださいませ♪ (10月8日 10時) (
レス) @page18 id: 3e814a21c2 (このIDを非表示/違反報告)
リリィ - 大人な事情とちょっとほろ苦い恋の味が綺麗に描かれていて好きでした。シュアもハニちゃんも好きな私からしたらとてもハッピーです。次回の作品も楽しみに待ってます！ (10月8日 3時) (レス) @page18 id: 4664616c0c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：玄兎
| 作成日時：2023年9月5日 11時
